熱烈なファンに応える期待の1台――「Galaxy Note8」の魅力を読み解く石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2017年08月26日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 去年起こったことは、私も、皆さんも決して忘れない――8月23日(現地時間)に米ニューヨークで開催されたSamsung Electronics(以下「Samsung」)のイベント「Samsung Galaxy UNPACKED 2017」の冒頭で、同社モバイル部門のDJ・コー社長が語った言葉だ。もはや説明は不要かもしれないが、これは2016年に発生した「Galaxy Note7」の発火・焼損事故や、それに伴う大規模なリコールのことだ。このリコールで、SamsungはGalaxy Note7の販売を中止し、業績にも大きなダメージを受けた。一時は、シェア世界1位から転落してしまったほどだ。

DJ・コー社長 ユーザーへの感謝を何度も口にした、サムスン電子のDJ・コー社長

 これらを受けて、同社は2017年1月に抜本的な安全対策の強化を発表。翌2月にスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2017」に合わせて行う予定だった「Galaxy S8」「Galaxy S8+」のお披露目を後ろ倒しにしてまで、バッテリーの安全対策には万全を期した。

 そして8月23日、リコールされたNote7の直接的な後継機である「Galaxy Note8」の発表イベントを迎えた。

Galaxy Note8 米ニューヨークで発表された「Galaxy Note8」

異例となるファンへの感謝で始まった「Galaxy Note8」の発表会

 事故からまだ1年ということもあり、Samsungが慎重になるのは当然のことだ。ただ、Note7のリコールについて、今回のイベントでもあえて触れたのは「安全であることを改めてアピールするため」というわけではない。むしろ、発表の内容を見ると、Samsungが「ファンとの強固なつながり」がGalaxy Noteシリーズの特徴であると捉えているために触れたのだと分かる。

Created for You イベントでは“あなた”のためのスマートフォンであること(Created for You)が強調された

 イベントは、コー氏が苦境にあえぐSamsungを見捨てなかったファンに対し感謝の意を示すところから始まった。コー氏によると、大規模なリコールに発展しながらも「Noteのロイヤリティユーザー(忠誠度の高いユーザー)は我々のもとに残ってくれた」という。実際、Samsung関係者によると、Galaxy Noteシリーズのリピート率は他の商品よりも高いという。

 イベントで紹介されたアンケートの結果も、Noteシリーズユーザーのロイヤリティの高さを示している。このアンケートによると、約74%のユーザーがGalaxy Noteを「最高の1台」だと思っており、85%のユーザーが友人や知人などに勧めたいほど満足しているという。コー氏が「Noteが他のスマホとは違うだけでなく、Noteユーザーも他のスマホのユーザーと決定的に違う」と述べたのはそのためだ。

アンケート調査の結果 多くの人が友人や知人に勧めたいと太鼓判を押すというGalaxy Noteシリーズ。この満足度の高さも、このシリーズの特徴

 元々、Galaxy Noteシリーズは熱心なファンに支えられてきた。初代「GALAXY Note」が2011年に発表された際は「ペンの力と大画面のメリットを理解できない人もいた」(コー氏)一方で、「何百万もの人が、Noteを単なるスマホ以上の存在だと認識した」(同)。その後、各社のスマホが軒並み大画面化したことを考えると、GALAXY Noteには先見の明があったといえる。マーケティング用語でいう、いわゆる「アーリーアダプター」に支えられてきたともいえる。

GALAXY Noteに対する「否定的な声」は多かった 初代GALAXY Noteを投入した時は、ペン入力や画面サイズに対する否定的な声は多かったという

 うがった見方をすると、ファンへの感謝、新製品を盛り上げるための「演出」のように思えるかもしれない。実際、Samsung側にも、そうした狙いがまったくなかったわけではないだろう。ただ、会場からは通常のUNPACKED以上の熱気を感じたのも事実だ。プレゼンテーションが終わった際には大きな拍手が飛び、製品の展示コーナーには、我先にと多くの報道陣やパートナーが詰めかけた。メディアとパートナーを合わせた参加者が、過去最高の1764人にのぼったことも、この熱気を数字で裏付ける。

Galaxy Note8発表の瞬間 Galaxy Note8発表の瞬間には、報道陣やパートナーから歓声が上がった
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