個人向け「Office 365」が何台でもインストール可能に 日本のユーザーへの影響は?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2018年09月06日 12時30分 公開

 米Microsoftはサブスクリプション契約のクラウド型Officeである「Office 365」のライセンスを改定し、より多くの個人ユーザーを取り込もうとしている。

 同社は8月30日(現地時間)、海外で個人向けに販売している「Office 365 Home」と「Office 365 Personal」、そして日本国内で販売している「Office 365 Solo」について、10月2日にサービスを同時利用できるユーザー数やデバイス数の制限を緩和すると発表した。

Office 365 サブスクリプション契約のクラウド型Officeである「Office 365」(Office 365の製品ページより)
Office 365 8月末、「Office 365 Home」サブスクリプション契約をしている筆者に届いたメール。ライセンスの改定について書かれている

インストールデバイス数は無制限に、同時利用ユーザー数で制限

 まずは、個人向けのOffice 365がこれまでどういった内容だったのかを整理していく。米国をはじめ、海外で販売されている個人向けOffice 365には、主に「Office 365 Home」と「Office 365 Personal」の2種類がある。それぞれの主な特徴と違いを下記にまとめた。

  • Office 365 Home(2018年10月2日まで)

年間契約費用:99.99米ドル
インストール可能デバイス数:10(5台のPC+5台のタブレット)
対象ユーザー数:5人
OneDriveストレージ容量:5TB(1ユーザー当たり1TB)

  • Office 365 Personal(2018年10月2日まで)

年間契約費用:69.99米ドル
インストール可能デバイス数:2(1台のPC+1台のタブレット)
対象ユーザー数:1人
OneDriveストレージ容量:1TB

Office 365 米国のリテールストアで販売されている「Office 365 Home」のパッケージ
Office 365 パッケージに書かれているサブスクリプションの比較表

 今回のライセンス改定で対象となる海外Office 365製品は下記の6つだ。既存のユーザーも含めて2018年10月2日以降に新条件へと移行する。

  • Office 365 Home
  • Office 365 Personal
  • Office 365 University
  • Office 365 Home Military Appreciation Edition
  • Office 365 Home Trial
  • Office 365 Personal Trial

 全てのサブスクリプションにおいて、次の形で新ライセンスが適用される。

  • サブスクリプションを利用したOffice製品のインストール可能デバイス数は無制限
  • 同じサブスクリプションで同時に利用可能なデバイス数は最大5台で、6台目を起動したタイミングで「limit reached」と表示される
  • 台数制限を回避するには、どれか1つのデバイスでサインアウトし、同時起動デバイス数を5台以内に抑える
  • 当該デバイスで(Office 365にひも付けられていない)他のユーザーがOfficeを利用した場合、「読み取り専用(Read Only)」モードで起動する

 なお、サインアウトの制御はOffice 365の管理ページで行う必要がある。もし当該デバイスでサインアウトが行われた場合、サブスクリプションで提供される一部機能が利用不能になる。また、サインインなしの状態でもOffice 365の利用は可能だが、定期的にサインインを促すメッセージが表示される。

 つまり、Office 365を導入したデバイスでは基本的にインターネット接続環境が必要となるわけだが、Microsoftは最大30日までオフラインでの利用を許可している。この期限を過ぎると「読み取り専用(Read Only)」モードへと移行するため、あらためてインターネットに接続する必要がある。

 Office 365 Homeではこれらのライセンスの変更に加え、サブスクリプションの対象ユーザー数が従来の5人から「6人」へと1人分増えている。各ユーザーがデバイス数無制限でOffice 365製品を利用可能となるが、条件として「同時接続ユーザー数が5人」に限られるという制限がある。

 Office 365を利用した場合に全対象ユーザー1人当たり1TB提供されるOneDriveストレージ容量について、従来は最大5ユーザーということで最大5TBのクラウドストレージが利用可能だったが、新ライセンス体系では「最大6TB」となる。

 まとめると、今回の新ライセンス体系での各サブスクリプションでの違いは下記のようになる。

  • Office 365 Home(2018年10月2日から)

年間契約費用:99.99米ドル
インストール可能デバイス数:無制限
同時利用可能デバイス数:5台
対象ユーザー数:6人
同時利用可能ユーザー数:5人
OneDriveストレージ容量:6TB(1ユーザー当たり1TB)

  • Office 365 Personal(2018年10月2日から)

年間契約費用:69.99米ドル
インストール可能デバイス数:無制限
同時利用可能デバイス数:5台
対象ユーザー数:1人
同時利用可能ユーザー数:1人
OneDriveストレージ容量:1TB

 つまり、HomeとPersonal両者での違いは「複数ユーザーの利用を想定しているか」という点だけになる。Homeという名称からも分かるように、このサブスクリプションはもともと家庭で複数のユーザーが同時利用することを想定して設定されたものだ。

 一方で、筆者のようにメインPCだけで2台、実験用PCを1〜2台同時に運用するユーザーの場合、従来のPersonalでは最大2台という制限のせいでHomeを選んでいたのが、今回のライセンス改定でより安価なPersonalを選択しても問題なくなったというわけだ。

 どの程度のユーザーがこれで恩恵を受けることになるかは分からないが、「複数デバイス持ち」が当たり前になりつつある昨今、条件の緩和でよりOffice 365を利用しやすくなったといえる。

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