一方、日本の場合、個人ユーザー向けにはOffice 365 Homeや同Personalの代わりに「Office 365 Solo」という製品が販売されている。年額1万2744円(税込)で2台のPC+2台のタブレットにOffice 365のインストールが可能なライセンスが付与されるサブスクリプションだ。
年間契約費用:1万2744円(税込)
インストール可能デバイス数:4(2台のPC+2台のタブレット)
対象ユーザー数:1人
OneDriveストレージ容量:1TB
その最大の特徴は、海外の個人向けOffice 365では「個人向け用途」に限定されていたものが、Soloでは「ビジネスと個人向け」の両方に適用可能なライセンスになっている点にある。
例えば、小規模企業で導入したり、あるいは個人ユーザーが家での仕事に利用するためにOffice 365 Soloを選択したりと、「Officeプリインストールの市販PCをそのまま業務に使う」という文化が根強い日本向けの仕様といえる。
このOffice 365 Soloだが、今回の海外でのライセンス条件緩和に伴い、Office 365 Home同様、10月2日にインストール可能なデバイス数の制限がなくなり、同時に5台のデバイスで利用可能になる。
年間契約費用:1万2744円(税込)
インストール可能デバイス数:無制限
同時利用可能デバイス数:5台
対象ユーザー数:1人
同時利用可能ユーザー数:1人
OneDriveストレージ容量:1TB
もっとも、日本でこの恩恵を受けるユーザーは限定的だろう。なぜなら、Microsoftが「Office Perpetual」と呼ぶ「永続ライセンス」型のOfficeが日本では主流だからだ。
Office Perpetualとは、サブスクリプション契約ではなく、一度購入すれば使い続けられる「Office Home & Business 2016」や「Office Personal 2016」のこと。日本のメーカー製PCの多くに付属している「Office Home & Business Premium」も含む。Office Home & Business Premiumは「対象Office製品の永続使用権(1台のみ)+Office 365の1年使用権」という内容だ。これらはいずれもサブスクリプションではないので、今回のライセンス変更では対象外となる。
米国では完全にOffice 365の拡販に主軸を置いており、今後も「Office 2019」での10%値上げに伴い、Office PerpetualからOffice 365へとユーザーを大胆に誘導していく流れができている一方、日本では「Surface Go」の個人向けモデルにOffice Home & Business 2016のライセンスを付属するなど、日米で戦略の乖離がみられる。日本では、従来のパートナービジネスや業界の慣習でなかなか新しいスタイルへと移行できないでいる。
Microsoftでは地域別のOffice 365実績に関する詳細データを公開していないが、現状の日本国内でのOffice展開状況を見る限り、少なくともOffice 365による中小企業や個人のクラウドへの誘導はあまり進んでいない、と判断している。この戦略については、またあらためて取材結果を報告したい。
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