新「iPad Pro」を試して判明した驚異の実力 もはやパソコン超えか本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)

» 2018年11月06日 08時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

持ち運びも充電もラクになったApple Pencil

 もう一つの改善。Apple Pencilについては、ペン先の材質、基本的なテクノロジーともに変化はないという。しかし、新しいApple Pencilは、一部が平面になったことで転がりにくくなり、長さもやや短縮、頭が少し重かった重量バランスも改善されている。

iPad Pro 新しい「Apple Pencil」。従来より少し短く、一部が平面になった

 さらに、その平面部分がマグネットでiPad Proに装着できるようになった。これまでのApple Pencilは、Lightning端子に差すことでペアリングと充電を行う手法が採られていたが、新しいApple Pencilはマグネットで装着した際にiPad Pro側からワイヤレス充電(恐らく「Qi」を応用したものだろう)ができる。

iPad Pro 新しいApple PencilはマグネットでiPad Proに装着でき、そのまま充電まで可能になった

 さらに平面部の指元にはタッチセンサーが内蔵されており、センサーをダブルタップすることで、持ち替えずに操作(規定値ではツールの切り替え)が行える。

 発表会場でクリエイターの方々に使用感の感想を求めたが、従来よりも視差が少なくなり(技術的な変更ではなく、カバーガラスが薄くなったのかもしれない)、従来の滑りすぎる感覚も緩和されたそうだ。ただし、表面のコーティングを含め、大きな仕様変更の意図はApple側にはないという。

 感覚の違いは、他社のタブレットよりもやや硬めのペン先が、少し沈み込む感覚となり、それがタッチの幅、柔らかさを高め、滑りにも影響しているとも考えられる。一部には「滑りを調整するシートを貼る必要がなくなる」との声もあったが、こればかりは感覚的なものもあるため、是非、自分自身で確認していただきたい。

iPad Proの位置付けを変えるUSB-C対応

 さて、最後に挙げていたUSB-C対応。これはiPad Proという製品の位置付けを根本的に変える大きな変更だ。従来のLightning端子は、USBの信号に加え、アナログ、デジタルの音声信号なども扱える上、表裏どちらも使える端子として、iPhone向けに開発されたものだ。

 開発された時代背景もあり、「母艦」であるパソコンに接続することも大きな役割だったが、それだけにLightningで接続される側のデバイスは「周辺機器」としての性格が強い。USBという通信規格が、そうした主従関係を前提としたものだったからだ。

 しかし、USB Type-C規格はそうした接続トポロジーが改められており、より柔軟な通信と電源供給が行えるようになった。iPad ProはパソコンにUSB-Cを通じて接続できるが、同時にiPad Proがホストとなって周辺デバイスを接続したり、iPad Proが電源の供給元になったりもできる。

iPad Pro インタフェースはLightningからUSB-Cに変更となった

 このようにiPad ProがLightningを捨ててUSB-Cを標準としたことは、周辺デバイスとして始まった「画面サイズの大きなスマートフォン」というiPadの位置付けを大きく変える転換点になる仕様変更だ。

 例えば、今後はUSB-Cを通じてiPad Proに直接つながるデバイスの急増が見込まれる。iPad Proの登場以来、着実に増えてきているフォトグラファー向けのアプリがあるが、今後はUSB-Cを搭載するデジタルカメラと直結し、RAWファイルを吸い上げ、iPad Proの強力なGPUで現像、質の高いディスプレイで結果を確認する、といった使い方が、当たり前になっていくはずだ。

 実際、Adobe Systemsの「Lightroom CC」は既にiPad版が存在するが、発表会では近日にリリースされる予定のiPad版「Photoshop CC」(従来のような簡易版ではなくフルセット)がデモンストレーションされていた。

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