東京学芸大学附属竹早小学校が12月4日、マイコンボード「micro:bit」を用いたプログラミング教室の公開授業を行った。50分の授業の中で、子どもたちは自身で自由にプログラミングしたコードをマイコン上で動作させるまでを学んだ。
東京学芸大学附属竹早小学校は、日本マイクロソフトなどが参画する業界団体「ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム」(WDLC)の「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」に参画している。
同プロジェクトは全国200団体の小学校にmicro:bitを無償提供しており、プログラミング教育に役立ててほしいとしている。
今回は同校の小学5年生の児童約30人を対象に、Web上の開発環境「MakeCode」とmicro:bitでサンプルプログラムを実際に動かし、プログラミングとはどういうものかを体験する機会となった。
【訂正:2018年12月6日午後3時 竹早小学校とWDLCの関係について記述をあらためました】
公開授業では、以下の4つの課題を進めながらMakeCodeの使い方と、micro:bitでの実際の動作を確認し、プログラミングの仕組みを学んだ。
micro:bitに備わったセンサーやLEDを利用し、「入力と出力の仕組み」を理解しながら課題を進めていくといった内容だ。
MakeCodeとmicro:bitに精通した日本マイクロソフトの社員17人がボランティアスタッフとしてサポートに入り、うまく動かせない子にアドバイスをしていた。
また、子ども同士で不明点を相談して解決する姿なども見受けられた。
課題を進める子どもたちの集中力は高く、課題を達成するために必要な「動く仕組み」をMakeCodeの中から次々と探し出し作り上げていく。
実際にコードがmicro:bit上で動いた際には「動いた!」と歓声をあげる子もいれば、MakeCodeとmicro:bitで他にもさまざまなことができることに気付き、課題にない「動き」を取り入れるなどし、さらに踏み込んだプログラムを作成する子も。
授業を終え、児童たちは楽しかったと一斉に手を挙げ「もっと続きを作りたい」「こんな工夫をしたから面白くできた」と感想が出てくるなど、今回のプログラミング教室の満足度は高かったようだ。
授業後、同校でプログラミング教育に力を入れる佐藤正範教諭に今回の公開授業や今後のプログラミング教育の課題などについて伺うこともできた。
micro:bitを用いた公開授業の様子を見て、佐藤教諭は「入力と出力を学ぶには良い教材だ」と高評価。
「小学生向けのプログラミング教育では、コンピュータを使い『入力→プログラミング→出力』というモデルのイメージをもたせる事が1つのゴール。micro:bitは『光る』『音が鳴る』など、小学生でも入出力の仕組みを理解していくのに最適なものがパッケージングされており、実際に今回の授業でも児童たちの反応が抜群に良かった。プログラミング必修化の中、様々な教材・ツールがある中でも、教える内容にハマりやすい、選びやすい教材だ」(佐藤教諭)
一方、プログラミング教育を行っていくに当たり、既存の授業との時数の兼ね合いやプログラミング的思考を学ぶに当たってどれほどの時間を割けばいいかなど、佐藤教諭は課題感を持つ。
「『入力と出力』を小学生の間に理解し、中学生以上のプログラミング教育として課される『計測と制御』の仕組みを学ぶための基礎を作っていくには、3年次から年間8時間から10時間ほどの授業時数を確保したい。コンピュータとプログラミングをある程度使いこなし、楽しさや便利さを実感できた先に、各教科の内容理解や問題解決に使える道具として、ようやく子どもたちの選択肢となるという実感がある。」(佐藤教諭)
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