現在のCorningを代表する製品の1つとなっているGorilla Glassは、2007年に耐傷性に優れた特殊ガラスとして初代製品が誕生した。
……のだが、Gorilla Glassの“前身”は、製品化するかなり以前に「研究成果」としては存在していた。先述の通り、Corningでは年間売上高の約8%を研究開発に投じているが、製品としてのニーズがないために「お蔵入り」する素材・技術もあるという。
Gorilla Glassの前身もそんな「お蔵入り」の1つだったのだが、とあるスマートフォンの画面ガラスとして日の目を見ることになった。種まきとしての研究開発が、長い年月を経て製品として結実したのだ。
その後も、Gorilla Glassは進化を続ける。スマホやタブレットを落として画面ガラスを割るケースが増えたことと、背面パネルにもガラスを使うスマホが増えたことを背景に、2013年の「Gorilla Glass 3」から先の製品は、耐傷性を維持しつつ、耐衝撃性をより高める方向で開発を進めているという。
6世代目の製品となるGorilla Glass 6では、2年前に登場した前世代「Gorilla Glass 5」と比較して2倍の落下耐性を備え、より高い場所からの落下しても割れにくくなった(社内検証)という。
ガラスは、引っ張り応力がかかることで破損する。スマホにおけるガラス破損の多くは「突起物との衝突」によって発生するが、この場合、一点にかかった衝撃が引っ張り応力として広がることで破損を招く。
ということは、引っ張り応力とは逆の力、つまり圧縮応力をより強く掛けることができれば、ガラスは破損しにくくなる。Gorilla Glass 6では、強化層(圧縮応力を強くした層)を広げたりガラス自体の組成に工夫を凝らしたりすることで、従来品よりも落下耐性を高めたという。
Gorilla Glass 6は、厚さ0.4mm〜1mmの範囲で提供できるという(参考リンク)。ガラス自体の耐衝撃性が増すと、ガラスをより薄くしても強度を維持、または向上させることができるため、端末の薄型・軽量化に寄与する。「強度確保のために薄さや重さを犠牲にする」という割り切りから開放される可能性があるのだ。
昨今「フォーダブルフォン(折りたたみのできるスマホ)」が話題となることが多い(参考記事)。
ガラスというと「折り曲げる」というイメージが浮かびづらいが、Corningではフォーダブルフォンでも利用できる「折り曲げられるガラス素材」の研究開発を進めているという。
「ガラスを使ったフォーダブルフォン」が近い将来登場するかもしれない。
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