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» 2019年05月22日 11時00分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:新スマホのケースや保護シートが“ぴったり”作れる理由、作れない理由 (1/2)

スマホのアクセサリーメーカーが製造販売しているケースや保護フィルムなどは、どうやって寸法情報を入手しているのか、不思議に思ったことはないだろうか。実物を購入してチェックするのが基本だが、中には当てずっぽうだったり、あるいはユーザーから現物を借用して寸法を測っていたりする場合まである。

[牧ノブユキ,ITmedia]
work around

 PCやスマートフォンの本体メーカーではなく、それらのアクセサリーを幅広く製造しているメーカーを見ていて不思議に思うのが、「一体どうやってこれだけの製品の適合状況をチェックしているのだろう?」ということだ。

 スマホのケースにせよ、保護シートにせよ、またPCであればキーボードカバーもそうだが、異常なまでの点数が発売され、またそのいずれも本体機器の形状にぴったりと合致している。本体機器を全て購入してチェックをしていてはコストがかかるし、数からいってもキリがない。また、スピードが速すぎるように見える。

 こうしたアクセサリーメーカーは、どのような方法で、こうした適合をチェックしているのだろうか。

実は適合チェックを行っていない場合も……

 ここで、「実はこんな画期的な方法が……」という秘伝を紹介できれば、記事としては大変興味深い内容になるのだが、実のところ、アクセサリーメーカーが行っているのは、本体機器を自腹で購入して、形状が適合するか個別にチェックするという、地道で泥臭い方法がメインである。

 もちろん、毎回そうした購入のための稟議を書いていては大変だし、コストもかかるので、購入するユーザーを見つけて借りるという方法もよく使われる。新製品のスマホを買うことをうっかり公言してしまった社員が、開発用と称してしばらく機材を会社に強奪されたという話は、この業界では枚挙にいとまがない。

 一方、iPhoneのように競合が多く、わずかな出遅れで他社に後れを取ってしまう製品では、新製品の発表時点で公表された寸法情報だけを手掛かりに当てずっぽうで製品を作って量産し、上がってきた品を本体機器と合わせてチェックする場合もある。特に保護シートは、本体機器と同時購入できるタイミングが、最も販売数が伸びるからだ。

 万一、それらの製品が本体機器に適合しなかった場合はどうするか。出荷を中止して作り直すのが常識的な方法だが、多少の寸法違いであれば、そのまま強引に出荷してしまうこともある。どのみち全数廃棄になるのなら、一定数のユーザーは不平不満をいいつつ返品しないことを見越して、そのまま出荷してしまおうというわけである。

 これはつまり、製品が発表されてから間がないにもかかわらず、いち早く店頭に並ぶ製品の中には、実機での適合チェックがきちんと行われていない製品も存在することを意味する。また従来モデルに比べて音量ボタンの位置が微妙にずれるなど、我慢すれば使えなくはない程度のモデルチェンジであれば、初回ロットは旧製品を「新モデル対応」とうたって出荷し、次のロットから修正するケースも多い。

 こうした手口は、ネット上ですぐさま低評価を付けられ、差し替え後の製品まで売れなくなる危険が高いため、国内のアクセサリーメーカーはまず手を出さないが、それでも過去にはこうした手口で売り上げを稼ぐ事業者はいた。また、出品者名をコロコロと変えつつECサイト上で商売している海外メーカーであれば、故意的にこうした手口を用いても、ダメージがほとんどない。被害を受けるのはユーザーだけだ。

 いずれにせよ、あまりにも早すぎるタイミングでリリースされるアクセサリー、中でも金型を用意しなくてはいけない品については、実は適合チェックが不完全かもしれないというリスクがあることを念頭に置いておくべきだろう。

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