「iTunes」がMacから消え去る理由 Windowsでは生き残る理由本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2019年06月04日 14時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

iOSとmacOSの互換プロジェクトでiTunesは不要に

 2018年からiOSアプリをmacOSに簡単に移植するためのプロジェクトがスタートし、幾つかのApple純正アプリがmacOS上でも動作するようになっていた。Apple News+や録音アプリなどはその端的な例だが、これらはあくまでApple社内で試験的に使われていたものにすぎない。

 しかし、macOS Catalinaでは正式にiOSアプリをmacOS上で動かすための「Project Catalyst」の成果が組み込まれ、サードパーティーも利用可能になる。これまでの経験を生かして互換性を高めることに成功したからだ。

 これに先立つ形でApple自身がiOSアプリをmacOS向けに移植するのが、「Apple Music」「Podcast」「Apple TV」だ。それぞれのiOS版をmacOS向けに移植する。これらAppleが提供するサービスと連動するアプリがMacの上で動くのであれば、そもそもiTunesは不要になる。

WWDC19 iOSアプリの「Apple Music」「Podcast」「Apple TV」をmacOS Catalina向けに移植し、iTunesは搭載されなくなる

 無論、iCloudと連携をするとしても「母艦」としてMacを使いたいニーズはあるだろうが、そちらは本質的にはmacOSのファイル、デバイス管理を行う「Finder」に統合されるべきものだろう。実際、CatalinaではFinderのサイドビューにiPhoneなどのデバイスが表示され、同期やコンテンツの管理が行えるようになる。

 Apple製品の中で、最も市場への影響力が大きいiPhoneを基準に考えるならば、このようにサービスやコンテンツを扱う窓、体験の質を統一する方が得策だろう。

 「iTunes廃止」と書くと刺激的に感じるかもしれないが、iOSとmacOSの互換性が高まった結果、iTunesが役割を終えたのだと考えれば自然な流れといえる。

非Apple機器以外では廃止する意味はない

 一方でAppleのプラットフォームではないMicrosoftのWindows OSで、iTunesを廃止することはないだろう。少なくともApple広報によると、現時点においてWindows版iTunesの開発中止などの情報はないという。

 音楽ダウンロード配信や映画・テレビ番組のダウンロード、ストリーミングプラットフォームとして、iTunesは重要なプラットフォームとなっているため、Windows版を廃止してしまうと、Apple以外のコンテンツパートナーにも影響が及ぶという理由もある。

iTunes for Windows Windows版の「iTunes」は廃止されない

 もし「iTunes for Windows」を廃止することがあるとすれば、macOSと同様にApple Music、Podcast、Apple TVの各アプリに加え、iPhoneおよびiPadと連携するための同期ツールを別途提供しなければならない。

 iOSは既にパソコンとの連携なしでも成立するようになっており、以前ほど「母艦としての意味はないのでは?」と考えれば、今後、更新頻度は下がっていくかもしれない。しかし提供が終了することはないだろう。

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