スマートスピーカーは24時間365日、電源をオンにして使うのが前提だ。長期不在の場合はオフにすることもあるだろうが、そうでない場合は常時オンにしておかなければ、声を掛けた時に応答できず、製品の意味がなくなってしまう。一部のスマートスピーカーを除けば、電源ボタンが用意されていないことからも、常時オンでの運用が想定されているのは明らかだ。
最も筆者の知人の中には、就寝時には電源をわざわざオフにする人がいる。てっきりクラウドに音声を収集されるのが嫌で、マイクを切るために本体ごと電源オフにしているのかと思いきや、そうではなく、単に消費電力を気にしてのことらしい。起床時や就寝時の照明のオン/オフにスマートスピーカーを使っている筆者からすると、ちょっと考えにくい使い方だ。
とはいえ、スマートスピーカーがどのくらいの電力を消費しているのかは、なかなか実感として沸きにくい。待機時はともかくとして、音楽をずっと流しっぱなしにしている場合もあるし、あるいは自分の預かり知らぬところで大量のトラフィックを発生させ、毎月の電気代を押し上げている可能性もなくはない。
そこで今回は、以前別記事で紹介したラトックシステムのBluetoothワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を使い、代表的なスマートスピーカーについて、具体的な消費電力を測定した。電気代を節約すべく、スマートスピーカー未使用時に電源をオフにする必要はあるのだろうか。
まずは手持ちのスマートスピーカー7製品について、スタンバイ時、つまり音声による応答を一切行っていない状態での消費電力を測定した。いずれも2019年5月末時点での最新ソフトウェアを適用した状態で、上記ワットチェッカーを接続したまま何時間か放置し、値が安定した1時間をピックアップしている。
主なスマートスピーカーの消費電力 | ||
---|---|---|
メーカー | 製品名 | 消費電力(実測値) |
Amazon | Echo | 1.47Wh |
Echo Plus | 1.98Wh | |
Echo Dot | 1.17Wh | |
Echo Show | 2.97Wh | |
Home | 1.95Wh | |
Home Mini | 1.32Wh | |
LINE | Clova Friends | 1.10Wh |
これを見ると、製品の位置付けからしても実に順当な値だ。すなわち、標準的なスピーカー型のモデルよりも平たいコンパクトモデルの方が消費電力量が低く、また画面付きモデルについては標準モデルよりも消費電力量が高い。平均すると標準モデルが1.5〜2Wh、コンパクトモデルが1〜1.5Wh、画面付きモデルが3Whといったところだろうか。順当すぎて拍子抜けする結果だ。
電気代に直すとどうだろうか。消費電力量の平均が2Whだったとして、電気料金を25円/kWhで計算すると、電気代は1時間あたり5銭を切っている。仮に24時間つけっぱなしにしても、24時間で120銭=1.2円という計算だ。1カ月で40円以下という、微々たる額である。
他の家電と比べると、例えば筆者宅のTV(東芝REGZA「42Z3500」)の場合、視聴中は1時間あたり約200Whを消費しているので、計算上はテレビを15分視聴しただけで、スマートスピーカーが待機中に消費する1日の電力を超えてしまう。オイルヒーターのように1時間で500Wh近く消費する家電製品だと、5〜6分オンにするだけで上回る計算だ。
これならば、夜間や外出時にスマートスピーカーの電源をこまめにオフにして電気代を3分の1カットするよりも、テレビの視聴時間を1日数分減らした方が効果的だ。それにしても電気代に直すと1円以下であり、ここまで電気代に執着するようであれば、むしろスマートスピーカー自体、使わない方ががよいのではと思えてくる。
ただ、スマートスピーカーは待機状態が延々続くわけではなく、ニュースを読み上げたり、音楽を再生したりと、何かにつけて電力を消費する。次のページではスマートスピーカーの使い方ごとに、消費電力量がどのくらいの範囲で変化するのかを見ていこう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.