11月27日から29日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)において「第6回 鉄道技術展」が開催された。
その名の通り「鉄道技術展」は鉄道に関する技術が一堂に会する展示会で、2年に1回のペースで行われている。展示される技術はヘルメット、制服・作業服、改札機、案内システム、信号システム、運行管理システム、無線、サイネージ、車両システム……と、非常に多岐に渡る。鉄道の“幅広さ”を思い知るには十分だ。
そんな鉄道技術展に、PC向けディスプレイで知られるEIZOが出展した。鉄道とディスプレイは、どのような関係があるのだろうか。
鉄道で液晶ディスプレイが使われる場面は増加傾向にある。その1つが、車掌や駅係員がホームを確認するための「監視モニター」だ。
液晶ディスプレイを用いた監視モニター自体は、以前から製品化されている。しかし、輝度や解像度が低く、日差しが強い時の視認性やドア付近の精緻な確認に課題を抱えていた。
そこでEIZOが提案するのが「車掌用」をうたう新型ディスプレイ「DuraVision FDF2123W」だ。このディスプレイの最大輝度は1300カンデラで、一般的な液晶ディスプレイよりも高いため、日差しが強くても見やすい。また解像度がフルHD(1920×1080ピクセル)なので、高解像度の監視カメラと組み合わせることでドア付近の細かい所まで確認できる。
FDF2123Wは、すでに東急電鉄の一部の駅で導入されており、視認性の高さが好評だという。
合わせて、EIZOが現在開発を進めている視認性向上技術や人認識技術も参考展示されていた。昼間だけではなく、夜間や悪天候時の視認性を高めつつ、肉眼で見落としがちな危険の検知に役立ちそうだ。
日々の鉄道の運行は、運転士、車掌や駅係員、そして運行管理を行う「運転指令所」の指令員によって支えられている。特に事故や故障などが発生した際は指令員が果たす役割が大きい。
駅で異常が発生した場合、指令所からも状況を確認できるとダイヤ乱れへの対策を取りやすい。そこでEIZOは、PCレスでIPカメラを制御するソリューションを提案している。
既に発売している製品としては、セキュリティ向け46型ディスプレイ「DuraVision FDF4627W-IP」がそれに対応している。LANケーブルとハブを介してIPカメラを接続すると、リモコン操作でカメラの切り替えやズームなどができるというものだ。
しかし、鉄道事業者からは「もっと大きなディスプレイで表示したい」といった要望も寄せられているという。そこで同社は、FDF4627W-IPからIPカメラ制御部を取り出してボックス化し、好きなディスプレイと組み合わせられる「IPデコーディングボックス」の開発を進めているという。これを使えば、より柔軟にIPカメラを導入できるようになる。
鉄道を始めとするインフラ産業では、最近「CBM(Condition Based Maintenance)」という言葉をよく耳にする。CBMは直訳すれば「状態基準保全」という意味。機器や設備をメンテナンスするタイミングを「一定期間ごと」から「必要時」に切り替えることで、無駄な点検や部品交換を抑えようという考え方だ。
CBMを実践する上で重要なのが、機器や設備の状況を確認するためのソリューションだ。EIZOでは、高感度カメラと開発中の「映像処理ボックス」、グループ企業であるカリーナシステムのライブエンコーダーなどを組み合わせたシステムを参考出展していた。
将来的にはAI(人工知能)を組み合わせることで、機器や設備のメンテナンスタイミングを、より効率良くできるようになることが期待される。
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