iPad Proを“Mac化”する「Magic Keyboard」は高価でも買い? その完成度を確かめた本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

» 2020年04月20日 22時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

可変トルク構造でしっかりと本体をフローティング保持

 Magic Keyboardはマグネットで本体をフローティング保持する特徴的なフォルムを持つが、発表時に筆者が気になっていたのは、ヒンジ部分の作りだ。折り返し部分の太い軸があるヒンジはもちろん、画面の角度を調整するために可動する部分の重さなども気になるところだ。

Magic Keyboard カバー部分を折って、マグネットでiPad Pro本体をフローティング保持する構造を採用。キーボードの奥に、iPad Proが浮かんでいるように見える
Magic Keyboard iPad Proを取り外したところ。折り返し部分に太い軸があるヒンジ、背面カバー部分に画面の角度を調整するためのヒンジがある

 画面の角度を調整するためのヒンジは、一般的なノートパソコンと同様に、均一のトルクで保持されており不安がない。この薄い部分に安定して本体を支えるヒンジを入れたのは見事だ。

 最も大きく開いたところで130度というチルト角度に不満を感じる読者もいるかもしれないが、これ以上傾けると重心が後ろに行きすぎるため、使い勝手と安定性を考えてこの角度に設定したのかもしれない。

 設置にある程度の距離が取れる場所ならば、腕を自然に伸ばしてタイプしたとき、正対する位置がちょうどこの角度であるため不満はない。しかし、LCCのエコノミークラスでの移動時など、極端に近い位置で使わざるを得ないときにはもう少し広げたいと思うだろう。

 本当によくできていると感じたのは、本体端に配置されたアルミ製の太いヒンジ部だ。装着時にiPad Pro本体がアルミの軸と当たって傷つかないよう、パッドが配置されている。左側に充電専用のUSB Type-Cがある(公式にはここにアクセサリーは装着できないそうだ)のは、本体を装着したときに、本体の右にUSB Type-Cが来るためだ。このため左右にコネクターが分散し、右からでも左からでも給電できる。

Magic KeyboardMagic Keyboard アルミ製の太いヒンジ部は左側に充電専用のUSB Type-Cを搭載(写真=左)。装着時にiPad Pro本体がアルミの軸と当たって傷つかないよう、パッドが配置されている(写真=右)

 ヒンジは可変トルクのメカニズムが採用されており、本体を挟んで閉じる方向に軽くトルクがかかる他、開き切った角度でも保持力が働くようにトルクがかかる。恐らく内部のハブとスプリングで、このような可変トルクを実現しているのだろうが、トルクのかかり方が適切かつ自然であるため、キーボードを開いてから適切なポジションにセットするまでの一連の動作が極めて自然だ。

膝の上でも問題なく使えるように

 これまでのSmart Keyboard Folioは、出先で膝の上で使っているときの操作性に問題を抱えていたが、Magic Keyboardは本体の重さも手伝って安定して使うことができた。

 膝の上で安定して使えるのは重心のわずかな違いもあるが、パームレストの存在が大きい。座面が高い場合、つまり、膝が前に傾いている状況では、やはり不安定になりがちだが、そうした場合でもパームレストで保持しながらタイプできるからだ。

 マルチタッチのトラックパッドも、その面積の小ささが懸念されたが、使い始めると面積の違いはさほど大きな体験の差としては感じない。ただし、冒頭でも述べたように、トラックパッドが中央にある点には少しばかり不満を感じた。

 MacBook Proなどのトラックパッドは、それ自身の面積がとても大きく、中央にあっても気にならないが、iPad Pro用Magic Keyboardの場合は「V」キーの下までしかなく、キーボードのホームポジションに手を置いていると違和感を覚える。

Magic Keyboard トラックパッドはパームレストの中央に配置されており、キーボードのホームポジションからはずれている

 英語配列キーボードでは、ホームポジションがキー半個分右に寄るため、さほど不満を感じないのかもしれないが、理想をいうならばホームポジションに合わせてアライメントするか、あるいはトラックパッドの幅を広げてほしいところだ。

 トラックパッドのクリック操作はMacBook系では圧力センサーとTaptic Engineによる疑似クリックだが、Magic Keyboardはメカニカルなスイッチとなっている。トラックパッドのどの位置をクリックしても、ほぼ同じ感触でクリックできる点は驚きだが、メカニカルなクリックで全面同じフィールを実現するためにサイズが限定されたのかもしれない。

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