A14 BionicはTSMCの5nmプロセスで生産されている。搭載されるトランジスタは118億個だ。A12Zは7nmプロセスでトランジスタ数が100億個(ZではないA12は69億個)だが、トランジスタ数を比較するのであれば用途が近いA13 Bionic(85億個)の方がいいだろう。
A14のCPU構成は高性能コアが2個、高効率コアが4個で、これはA13 Bionicと同じだが、性能は向上している(Appleは毎世代、何かしらの改良を行うが公式にはアナウンスしていない)。
今回は搭載した製品がiPad Airであるため、前世代のiPad Airが搭載していた「A12 Bionic」(iPhone XSなどが搭載)との比較数値しか出されていないが、高性能コアの性能では40%高速になった。ちなみにA13世代はA12世代に対して20%の高速化だった(高効率コアの詳細は明らかになっていない)。
A14のGPUは4コアで、これもA13と同じだ。性能はA12世代に対してコア単体で30%高速化している。GPUについても、A13世代はA12世代に対して20%の高速化だった。
ただし、AppleのSoCはアプリケーションに特化して仕様が決められている。A14の場合、トランジスタ数の増分(A13に対し+33億個、A12に対して+49億個)のかなりの部分が、Neural Engineと第2世代MLアクセラレータ(行列乗算ユニット)に向けられているようだ。
Neural Engineは、A12およびA13の8コアから16コアに増加。A12からA13への世代進化ではコア単体で20%の高速化がアナウンスされていたが、今回はコアあたりのパフォーマンスには言及されていない。単純なコア数の増加ともいえるが、恐らく共有メモリの帯域増加などで16コアに増加させられるだけのスケーラビリティが確保できたのだろう。
A14のNeural Engineは毎秒11兆回の演算性能だ。A12世代のNeural Engine(5兆回)比で2倍以上と、ライバルとなりそうなSoCを大きく引き離しており、A12比で10倍高速というMLアクセラレータとともに、Appleがこの領域(ニューラルネットワーク処理と機械学習)に対し、いかに今後の進化を期待しているか、あるいは自社のOSやアプリケーションで活用する用意があるのかが透けて見える。
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