Microsoftが2021年秋を見込むWindowsの一大プロジェクト「Sun Valley」と「Cobalt」:Windowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2020年11月02日 12時00分 公開

 既報の通り、米Microsoftは10月20日(現地時間)に「October 2020 Update」の名称が付与されたWindows 10の「Version 20H2」をリリースした。同バージョンの概要や展開状況は本連載でも触れているが、Chromium Edgeの標準化など一部を除けば、大規模アップデートとしては小規模な“マイナーアップデート”的な存在となっている。

 一方で、前バージョンの「2004」こと「May 2020 Update」が広域展開まで長く足踏みしていた関係もあり、「いまだに1909以前のバージョンが動作している」というユーザーも少なくないだろう。

Windows 10 10月にリリースされた大型アップデート「Windows 10 バージョン20H2」

 今回、20H2の一般リリースが開始されたといっても、実際に最速のタイミングでアップデートできるのは手動で強制インストールを行ったユーザーのみであり、やはり多くのユーザーは自動アップデートが始まるのを待つことになり、当面は「2004」または「1909」「1903」あたりがメインのバージョンになるとみている。このあたりの分析は別の記事で行うとして、本稿では新たに登場したキーワード「Sun Valley」について解説したい。

マンガンから鉄、そしてコバルトへ

 Windows Centralのザック・ボーデン氏は10月28日(米国時間)に公開したレポートの中で、2021年内にもWindows 10のユーザーインタフェースの大幅なリフレッシュを計画しているという情報源の話題を紹介している。このプロジェクト名は「Sun Valley」と呼ばれ、Microsoftが内部で「Cobalt」と呼んでいる“Windowsの開発ブランチ”の成果として登場することになるようだ。

 「Cobalt(コバルト)」とは、その名の通り元素記号27番目の「Co」で表される金属元素で、合金や化合物として工業的価値の非常に高いことが知られているものだ。ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、MicrosoftはAzureチームの開発サイクルに合わせて、Windowsのコア部分の開発サイクルを「Semester(セメスター)」という形で半年単位で区切っており(米国の大学における「前期/後期」の単位に用いられている)、このSemesterでの開発期間に登場したWindowsコアを次のサイクルのサービス展開に用いている。

 例えば、2020年6月から12月までの“Semester”での開発期間は「Iron(アイアン)」と呼ばれる「21H1」のリリース候補となり、2021年1月から6月までの“Semester”での開発期間は「Cobalt」呼ばれる「21H2」のリリース候補となる。

 既に忘れているかもしれないが、Windows 10の「20H1」「20H2」は「Manganese(マンガン)」の開発コード名で呼ばれていた。これは日本語でいう元素記号25番目の「Mn」で表される「マンガン」のことであり、“Semester”の概念に則れば2019年後半の時期に開発されていたWindowsの“コア”ということになる。

Windows 10 アイアンからコバルトへと続くWindows 10の大型アップデート候補(ZDNetに掲載されたメアリー・ジョー・フォリーのMicrosoft releases new Windows 10 Dev Channel test build from the 'Iron' channelより引用)

 Microsoftは10月29日(米国時間)、Windows Insider ProgramのDev Channel向けにWindows 10 Insider Previewの「Build 20246」を公開したが、そのブランチ名が「FE_RELEASE」になっていることを説明している。FEとは「鉄(Iron)」の元素記号である「Fe」を表したものであり、これがIronの名称で示される21H1のリリース候補ビルドであることを示している(元素記号のFeはラテン語の「Ferrum」からきている)。

 実際、同社は2020年5月にInsider Previewの「Build 19628をFast ringユーザーに展開した際に、同ビルドがMN_RELEASEであることを示している。

 MNとはマンガンの元素記号である「Mn」を指しており、つまり20H1から20H2につながるリリースの名称が「Manganese」であることを示している(最初にこのキーワードが出た当時、筆者は「なぜマンガン?」と不思議だった)。鉄の元素番号が26番目であることを考えれば、“Semester”ごとに順番に元素番号をなぞっており、「Cobalt」の次が28番目の「Nickel(ニッケル)」の「Ni」であることが予想できる。

 現行のManganeseを経て、次のIronへとつなぎ、そしてボーデン氏のいうSun ValleyがCobaltの代で登場するというのが、2021年のWindows 10のロードマップということになる。

 ところが以前のレポートでも少しだけ触れたが、ジョー・フォリー氏によれば、Microsoftは「『21H1』の大型アップデートをスキップする可能性があり、その場合に2021年は『21H2』の大型アップデート(機能アップデート)が年1回行われるだけ」というルートを選択する可能性があるという。

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