少し前の話題になるが、Microsoftが8月17日(米国時間)に発表した「Internet Explorer 11(IE11)」と、従来までのWindows 10標準Webブラウザである「旧Microsoft Edge(Edge Legacy)」のサポート終了関連の話を改めて整理したい。同リンクの図表にもあるが、両製品のサポートにまつわる話題は下記3つのポイントにまとめられる。
つまり、Edge LegacyのEOLに合わせて既存ユーザーをChromium Edgeへと誘導し、IE11については主力製品であるMicrosoft 365のIE11からのアクセスを段階的に止めることで、結果としてIE11の利用価値を減らしてWebブラウザをChromium Edge(あるいはGoogle Chromeなど)に1本化していくことが狙いにある。
特に、2020年秋以降に配信が開始される次期大型アップデートの「20H2」では、全てのユーザーの標準ブラウザがEdge LegacyからChromium Edgeへと切り替えが行われるため、基本的に企業ユーザーがグループポリシーやWSUS(Windows Server Update Services)などでタイミングを操作しない限り、ほとんどのユーザーはEdge LegacyのEOLが到来する前にChromium Edgeへの切り替えが終了するとみられる。
ここでは、IE11のサポートについてもう少しみていく。
ここで問題となるのは、IE11のサポートをMicrosoftが「IE 11 isn't going away」という形で続けていくことを表明する一方で、今回のMicrosoft 365におけるIE11サポートの段階的縮小を発表するなど、難しい位置付けにある点だ。
Microsoftが提供しているIE11向けのサポートは現状3種類あり、「“IE11”のセキュリティ対応」「Chromium EdgeでのIEモードによる後方互換性の維持」「Microsoft 365などWebアプリケーション経由でのブラウザ(IE11)サポート」の3つになる。
このうち、最後の部分については2021年8月17日に終了となるが、残りについては今後も継続され、それをそう簡単に止められない状況にある。それは、発表の中の見出しにもある「Respecting investments in IE 11 web apps(IE11のWebアプリ資産への投資を尊重する)」という表現にもみられるように、IE11依存の資産を持つ既存ユーザーをいまだ切り捨てられないことに起因する。
その実、Microsoftは自身のWebサービスでのIE11サポートを縮小する一方で、IE11そのもののサポート終了時期については明言していない。Edge Legacy終了後もWindowsの中で“コンポーネント”としてのInternet Explorer(IE11)は存在し、アプリケーション側の必要に応じてモジュールが呼び出される。
同社は「Lifecycle FAQ - Internet Explorer and Edge」と呼ばれる文書の中で、Edge Legacyのサポート終了時期(2021年3月9日)については触れているものの、IEについては「各々のWindowsバージョンで提供されている最新のInternet Explorerのみ、テクニカルサポートやセキュリティアップデートが提供される」とだけ記載されており、サポート終了に関する話題には触れていない。
このような現状で、現在IEユーザーはどのくらい存在するのだろうか。おなじみのStatCounterとNet Market Shareの2つの数字は下記のようになる。
StatCounterではChromeの69.55%に対してIEが2.76%(Edge Legacyは1.93%)、Net Market ShareではChromeの71.11%に対してIEが4.23%(“Edge”は8.09%)となる。StatCounterではEdge Legacyと明記されており、Chromium Edgeがどのように扱われているのか不明だが、現状の利用者数を鑑みるとOtherに含まれる可能性が高い(Chromium Edgeが公開された2020年1月以降にシェアが急増しているため)。Net Market Shareでは“Edge”とだけ表記されているが、そのシェアの高さから類推してEdge LegacyとChromium Edgeの両者を合算した数字だと考えている。
続いて、IEを使っているユーザーとそれが抱えるリスクについて考えてみよう。
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