ところで家電量販店と取引口座を開いた小規模なメーカーの中には、厳しい取引条件に付き合いきれず、撤退するケースも少なくない。
小規模なメーカーからしてみると、量販店から取引を打診されるのは名誉なことだが、傘下の全店舗に供給できるだけの在庫を切らさずに持ち続ける体力はない上に、定期的に要求される協賛金、店舗の改装の度に駆り出される応援販売など、販促費および人員が潤沢な大手でしかクリアできないような要求を突きつけられ、日に日に疲弊してくる。
これに加えて、取引を始めてからしばらくたつと、事前連絡もなしに送り付けられる過剰在庫の返品などに苦しめられるようになる。こうしたことに嫌気がさして、取引を辞退するケースも少なくない。
結果的にこうしたメーカーは、リアル店舗が運営するECサイトでは「販売終了」という扱いになり、実店舗を持たないECモールなどを経由して販売を行うようになる。世間から見ると、こうしたECモールでしか見かけない怪しげな中華製のアイテムと見分けがつかなくなってしまうのが、なんともいたたまれない。
もっともこうしたメーカーは、自社サイトでの販売を並行して始めるケースが多く、このことはメーカーの信頼性を計る上で一つの目安となりうる。自社サイトは外部のECモールと異なり、何か問題を起こしてもすぐに姿をくらますことは難しく、一定の担保になりうるからだ。
従ってメーカーの信頼度を測る場合、家電量販店で取り扱いがあれば文句なしだが、それ以外で限りなく信頼性の高いメーカーを選びたければ、自社サイトを保有しており、かつ独自のストアを運営していることを条件にするとよいだろう。
これはECモールでよく問題になる、販売元を変えて低評価をリセットしながら販売を継続する製品を排除するのにも有効だ。無難な製品にはいまいち食指が動かず、製品選びの選択肢の幅をもう少し広げたい場合、こうした見方は役に立つはずだ。
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