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» 2021年03月01日 15時30分 公開

ECモール全盛でも「家電量販店が売る製品ならハズレなし」といわれる理由牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

ネット通販で製品を購入するにあたり、ハズレを引かない方法として、リアル店舗で扱われている製品を選ぶのがよいといわれている。リアル店舗のお墨付きがあれば安心というわけだが、この方法は必ずしも万能というわけではない。

[牧ノブユキ,ITmedia]
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 幅広い製品を取り扱うECモールでPC周辺機器やアクセサリーを探してみると、メーカー名すら記載されていない怪しげな製品や、やらせっぽい不自然なレビューに出くわすことがある。そのため、デジタル製品の購入はリアル店舗で実績がある家電量販店運営のECサイトをメインで利用している人も多いのではないだろうか。

 その一方、こうした家電量販店のECサイトをフィルターとして活用することで、他のECモールで売られている製品の良しあしを判断する人もいる。つまり家電量販店のECサイトで取り扱われていれば、それは信頼の置ける製品と見なし、型番を指定した上であらためて使い慣れていたり、少しでも安かったりする他のECモールで購入するというワザである(もちろん、家電量販店のECサイトが一番トクでそのまま購入することもあるが)。

 ダシに使われる家電量販店にとってはたまったものではないが、これもネットで検索すれば仕様も価格も簡単に比較できてしまう時代における、消費者にとっての一つの知恵と言える。もっとも、このワザは必ずしも万能というわけではない。その理由を紹介しよう。

家電量販店と取引口座を開いているメーカーは信頼できる

 家電量販店で扱われている製品が信頼できる理由の一つに、供給ルートが明確なことが挙げられる。家電量販店から見た製品の供給元は、メーカー直取引の場合もあれば卸経由の場合もあるが、いずれも正式な契約を締結した上で取引が行われている。そのプロセスの多くはバイヤーとの間で対面で行われており、怪しい業者が入り込む余地はまずない。

 そもそも量販店との間で取引口座を開くのは、並大抵のことではない。新参のメーカーはどれだけ製品が魅力的でも、与信の関係で直接取引がハネられることが少なくなく、卸経由の取引で実績を積んでようやく直接契約に至るパターンがほとんどだ。これらは年単位の取引実績が必要となるため、ポッと出の怪しい商品をいきなり登録して販売できる他のECモールなどと比べて、その信頼性は桁違いだ。

 また家電量販店で扱われている製品は、バイヤーが目を通しており、一定の品質が保証されているのも大きい。もちろんバイヤーとて全製品を実際に試しているわけではなく、漏れがゼロというわけではないが、メーカーや卸としては製品トラブルを発端に取引を切られることは絶対に避けなくてはならず、何らかの問題が発生した場合でも、相応の保証が期待できる。

 こうした点で、家電量販店のECサイトを信頼して利用している人も多いだろう。

地雷は踏まないが、こだわりのある品には出会いにくい?

 以上のことから「家電量販店で扱われている製品は一定の信頼が置ける」のは事実だが、ではその製品がユーザーにとって他より使いやすく便利な品かというと、そうとは言い切れない。なぜなら量販店との取引で重要視されるのは、トラブルを起こさず製品を安定供給できる体制であって、製品そのものの良しあしは二の次だからだ。

 現在の家電量販店は、90〜00年代にかけて統廃合が繰り返され、かつてはバラバラだった仕入れの窓口も集約された。メーカーにとっては、一度の商談でそれだけ多数の店舗に製品を卸せるようになり、効率は大幅に改善されているが、品切れすることなく製品を供給し続けるのは、昔に比べてはるかに難易度が高くなっている。

 こうしたことからメーカーは、画期的でユニークだが売れ行きが読めない製品よりも、無難だが供給がコントロールしやすい製品を量販店に卸す傾向にある。うっかり在庫を切らそうものなら、傘下の店舗全てに影響がおよび、おわび行脚をしなくてはならなくなるのはもちろん、下手をすると取引が一時停止になってしまう。

 結果として、現在の量販店のラインアップは、無難なアイテムが中心になってしまっていないだろうか。未知のジャンルの製品を購入するにあたり地雷を踏まないという意味では有用だが、自分なりのこだわりのある品を選ぼうにも、なかなかピンとくる製品に出会いにくいかもしれない。全国展開していて店舗数が多い量販店ほど、構造的にこの傾向は強くなりがちだ。

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