ノートとしてMaxな性能を持つ新型MacBook Pro その速さの秘密に迫る新たなる表現者の出番を待つ(4/4 ページ)

» 2021年10月21日 12時00分 公開
[林信行ITmedia]
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桁外れの製品は出た 次はそれを使い切る表現者の出番だ

 もちろん、Appleが最高性能をアピールするからには、ただ速いチップを搭載するだけでは終わらせない。M1 ProやM1 Maxの性能を使い切る人はほとんどいないはずながら、そうした人のために、これまでもさらに静かなのに50%も多く空気を取り入れてくれる空冷ファンも備えた(必要な時しか動かないので普段は静かだという)。

 ACアダプターも、とりあえずUSB Type-C対応のものをつなげば、他の容量のものでも容量に合わせた充電が行えるというが、標準添付(14インチモデルで96W、16インチモデルで140W)だと、30分で50%まで充電できる高速充電をサポートする。

 ディスプレイも、明るさや高いコントラスト比で既に定評のある従来のMacBook Proから、ミニLED採用のLiquid Retina XDRディスプレイに進化させ、最大120HzのリフレッシュレートをサポートするProMotionに対応させた。

 内蔵カメラも1080pの解像度にアップグレードされ、暗い場所での性能が2倍にアップし、ノイズフロアを最大60%も低減した3つのマイクアレイ、低音域が80%広くなりDolby Atmosの空間オーディオにも対応したスピーカーシステムも内蔵する。

Apple MacBook Pro 新型MacBook Proシリーズの主なポイント

 とにかく、今、プロクリエイターにとってのベストとは(あるいはMaxとは何か)を、ゼロベースで発想しデザインしたのが新型MacBook Proだ。Appleが一時は未来を賭けて挑んでいたTouch Bar(ディスプレイ表示機能を備えたキーボード)をやめ、Appleが一度は廃止したものの搭載を望む声が強かった磁石で吸着する電源コネクターのMagSafe 3やHDMIポート、SDXC対応のメモリカードスロットを復活させるなど、これまでの方向性の見直しも行われている。キーボードもメカニカルなタイプ感にこだわったという。それに加え、大きなボディーサイズを生かし、ファンクションキーを初めて他のキーと同じサイズにしている。

Apple MacBook Pro 従来のTouch Barをなくしただけでなく、通常は細長い形になるファンクションキーを、他のキーと同じサイズにしているのが目を引く

 14インチと16インチの両モデルで、M1 Pro/M1 Maxの両プロセッサを選べるようにしたことなどから、混乱を避けるために製品名を従来通りのMacBook Proにしたのだろうが、本来なら何から何までが現在のAppleの(ひいてはPC業界の)Maxが詰まった製品だけにMacBook Maxと呼びたいところだ。

 ほとんどの人にはオーバースペックで、その性能を使い切ることはできない製品となるだろう。しかし、数年後には、この製品がMacBook Airにまで降りてくるはずだ。

 それまでの間に、この新しい道具を使って最先端のクリエイターたちが、これまで誰も見たことがないような新しい表現を生み出してくれることに期待したい。


 ピクサーの元アートディレクター、ジョン・ラセター氏の座右の銘は「アートはテクノロジーに挑戦し、テクノロジーはアートにひらめきを与える」だ。

 18世紀、チェンバロでは出せなかった音の強弱の表現ができるピアノが発明されたことで、後のモーツァルトの音楽を生み出したように、世の中に、この新しいMacBook Proの高い性能を最大限まで引き出せる人が出てきて初めて、この道具は世の中に対して大きな意義を持つことになる。

 桁外れの製品は出た。次はそれを使い切る表現者の出番だ。

Apple MacBook Pro
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