今回はAppleのTouch IDを例にみてきたが、メーカー側からすると、ユーザーの側から要望が多いにもかかわらず、なかなか該当の機能を実装できないのはよくある話だ。その背景にあるのは技術面やコストの問題の場合もあるし、さらに今回のように、モジュールの物理的なサイズの問題や、また実装することで別の部分が犠牲になるという問題が絡んでいる場合もある。
Appleの場合、こうした客観的にみて難しいであろう問題を、大胆な取捨選択と思い切りのよさ、そして見せ方の秀逸さによって魔法のように解決してきた実績が過去にあり、それ故にユーザーの期待値が上がってしまうわけだが、問題の発生とそれらの解決プロセス自体は、他のメーカーと大きく変わるわけではない。
ユーザーの視点で「搭載されなかった」という事実に対して不満を持つのは自由だし、ごく当然の感情だが、そこから一歩先に進めて、なぜ搭載できないのか、その要因について考えを巡らせてみるのも、製品知識を深める上で面白いのではないだろうか。
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