Amazfit PowerBuds Proの専用アプリ「Zepp(ゼップ)」はiOS版とAndroid版しかないが、あくまでもBluetoothイヤフォンなので、PCなどともつなげられる。音の再生だけでなく、マイク機能も利用可能だ。
今回「レビューのためのWeb会議」に付き合ってくれるような友人や知人もいなかったため、過去に行ったWeb会議のアーカイブを再生してみたが、有線のヘッドセットと変わらない音質で声を聞き取れた。その流れで「Amazon Primeビデオ」を使って映画を再生した所、わずかな遅延を感じた。ただし、実写映画でなければ遅延もあまり気にならないだろう。人の声、BGM、動作音など臨場感のある音が再生され、イヤフォンとしても十分に使える。
自分の声が相手にきちんと伝わるかも気になる。特に、マイク付きの完全ワイヤレスイヤフォンのマイク性能は、想像以上に“千差万別”だ。カッコつけて意気揚々と電話なりWeb会議なりに臨むと「声が聞き取りにくいんですけど……」と言われることもたまにある。そんなこともあり、電話で問い合わせなどを行うときに、ヘッドセットを使うことを敬遠してしまっていた。
悲しい過去があるゆえに、正直いってこの製品にもあまり期待していなかった。しかし実際に「ひとりWeb会議」で試してみると想像以上にクリアな音声を残すことができた。強風が吹き荒れる中、窓を開放していたのでイヤフォンにぶつかる風の音は入ってしまったものの、窓の開け閉めの音や目の前の道路を走るクルマの音は全く入っていなかった。これなら、ケーブルを気にせず会話できる上、「相手に声が届いていないのではないか」という不安からも開放されそうである。
先述の通り、アクティブノイズキャンセリングを有効にした場合の最長通話時間は3時間半ほどである。昼休憩時にイヤフォンを充電しておけば、昼休憩を挟んで7時間近く会議し続けられる。15分間の充電で4分の1ほどバッテリーが回復するので、1時間ほどであれば、複数の会議もこなせるだろう。
先述の通り、Amazfit PowerBuds Proのさまざまな設定はZeppアプリで行う。例えば「運動不足気味なのでアラートを出す心拍数を下げる」「頸椎の姿勢リマインダーを設定しつつ、リマインドされたときの首回りの運動方法を確認する」「エクササイズ中に重低音のレベルを自動的に上げる」「ランニングを自動検出する」「各ボタンを押した場合に実行するコマンドの設定(ジェスチャー設定)」といった設定が可能だ。
ワイヤレスイヤフォンゆえに、イコライザーなど音に関する設定も行えるが、どちらかというと「Zepp Healthのヘルスケアウェアラブル端末群を管理するアプリ」だと考えたほうがいい。端末は「プロフィール」タブの「マイデバイス」から追加できる。
一度アプリで設定を済ませると、その設定値はイヤフォン側に保管される。再度PCに接続し直してテレワークに活用しよう。
残念ながら、Amazfit PowerBuds Proはマルチペアリングや複数台の同時接続機能に対応していない。そのため、別のデバイスで使う場合は「つなぎ直し」ということになるが、充電ケースを開けて、背面のペアリングボタンを3秒長押しするだけでペアリングモードにできるため、つなぎ直す作業はそれほど苦にならない。
「PC用」「スマホ用」と別々にイヤフォンを用意するよりは楽なことは間違いない。価格以上のメリットを感じられると思う。
Zeppアプリに話を戻そう。このアプリは全体的に分かりやすいユーザーインタフェース(UI)を備える。しかし、Amazfit PowerBuds Proには心拍センサーがあるのに、ホーム画面で心拍数の「モニタリングを開始」しようとしても、「この測定で利用可能な装置がありません」と表示されたり、ワークアウトを開始しても、1〜2分では「短すぎ」て記録できないなど、詰めの甘さを感じる場面もあった。
また、ランニングは自動検出するのに、ウォーキングにはその機能がないのは、普段から運動しない人には少しハードルが高いようにも思える。
とはいえ、Zepp Healthはぽっと出のメーカーではない。Xiaomi(シャオミ)のパートナー企業として「Mi Band」を供給してきた実績がある。今後、ソフトウェアの更新で使い勝手に改良を加えてくれるだろう……と期待している。
いずれにせよ本製品を数日使ってみて感じたのは、(筆者のような)“全く”運動しない人、体を動かすことに無頓着な人にこそ使ってもらいたいものだということ。出勤せずに仕事をしつつ、体を動かす習慣を身につける第一歩になるアイテムであるに違いない。
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