Audibleが月額1500円を維持しつつビジネスモデルを転換する訳:会員プランに「聴き放題」を追加(1/2 ページ)

» 2022年01月28日 12時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

 オーディオブックやポッドキャストといった「オーディオエンターテインメント」を手がけるAudible(オーディブル)が、1月27日より日本向けの会員プランが「聴き放題」に移行する。月額の利用料は従来通り月額税込み1500円のままで、ビジネスモデルの転換が行われた格好になる。

 1月26日に行われた、同社の2022年戦略発表会でカントリーマネージャー 逢坂志麻(おおさか しま)氏に真意を聞いた。

Audible 2022年の戦略発表会では、月額料金はそのままでビジネスモデルの大胆な変更が前面に打ち出された

コイン制から“聴き放題”への移行

 米国で1995年に創業したAudibleは、オーディオブックや音声コンテンツの制作/配信事業者として2008年にAmazon.comの傘下となり、世界各国で事業を展開している。日本では2015年7月に6カ国目としてサービスインし(現在は10カ国で展開)、さまざまなデバイスでコンテンツを楽しめる。

 非会員でも個別のタイトルを購入できるが、基本は会員となることでポッドキャストが聞き放題であったり、毎月付与される1コインでオーディオブックを1冊入手できたり、ダウンロードによるオフライン再生が行えたりと、豊富な特典が用意されていた。1月27日からはコイン制が廃止され(会員が所有しているコインは有効期限内まで利用可能)、新たにストリーミング再生もサポートする。

 また、Audibleの会員非会員の区別なくAmazon MusicのポッドキャストをAudibleのアプリで聞けるようになる

Audible 1月27日からは、会員になれば日本語のオーディオブックやポットキャストの大半が「聴き放題」になる
Audible Audible事業部 ビジネス・アフェア カントリーマネージャー 逢坂志麻(おおさか しま)氏

 Audibleには40万点以上のオーディオコンテンツが用意されているが、今回の聴き放題では日本語コンテンツの約95%を占める12万点以上が対象になる。残りの5%は原作が英語だったり、翻訳本だったりと権利関係の処理で時間がかかるものが該当し、いずれは100%にしていきたいという。

 この判断に至った背景として、逢坂氏は2021年を振り返り「2021年はAudibleを非常に活用していただけた1年だった。会員数は2018年にコイン制を導入したときと比較して約4.5倍になり、日本で聞かれたAudibleの合計時間は1900万時間にもなった。従来は自己啓発やビジネス関連のタイトルが人気で、ユーザー層も最も多いのは20代〜40台の男性だったが、在宅時間の増加などライフスタイルの変化に伴って女性層を中心に年代の幅が広がった」と語った。

Audible 2021年の振り返り
Audible これまでのAudibleの歩み

月額1500円の維持という部分にはかなりこだわった

 そして「会員特典を聴き放題に移行した理由は2つある。1つは会員のリスニング習慣が変化しており、年々聞く時間も延びているが、いろいろなコンテンツに手を伸ばしているのが分かってきた。そのニーズに適合する形で今回決断したのが大きい。もう1つはオーディオコンテンツに触れていなかった人に、手軽に触れていただくというきっかけという面も大いにある」とし、「月額料金の1500円をサービス提供当初より維持しているが、より価値のあるサービスにしていかなければならない信念がある。1500円のままで、大きな価値を感じていただきたいという思いで決めた」(逢坂氏)。

Audible 利用者のアンケートでは、Audibleを使うことで、スキマ時間を有意義に使えて読書量が増え、これまで未体験だった文学や小説に増える機会が増えたという

 逢坂氏は「Audibleの利用シーンもグンと広がっており、家事をしながら、ペットの散歩をしながら、寝る前にスマホではなく目を休めて耳でリラックスして寝付くなど、いろいろなユースケースが増えている」と分析。

 「2021年からはオーディオファーストを掲げ、書籍として出版する前にAudibleで独占配信を行ったり、『アレク氏 2120』といったAudible Originalsのオーディオエンターテイメント作品を積極的に投入したりと取り組んできた。こういったコンテンツの拡充によって会員の満足度が上がり、出版社やクリエイターのやる気や注目度が上がるという好循環が起きている」とし、「2022年には三浦しをんさんの新作『墨のゆらめき』(仮題)を配信予定で、これまでの新潮社に加え河出書房新社、幻冬舎、講談社、実業之日本社といった出版社とも新たなプロジェクトを行う予定だ」とアピールした。

Audible オーディオブックでは、書籍と同日配信に加え配信が先になるオーディオファーストなどに取り組む出版社が増える

 今後のコンテンツ制作方針はどうなのだろうか。

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