その一方で、Audible事業部 ビジネス・アフェア シニアコンテンツリーダー キーリング・宮川もとみ氏は「日本でオーディオコンテンツは盛り上がりを見せているが、まだまだ認知が低いと思っている。1月27日からは、オーディオブックとポッドキャストをこれまで以上に強化し、視野と知見が広がるオリジナルのコンテンツをお届けしたい。さらにAudibleならではのオーディオエンターテインメントに力を入れる」という。
このオーディオエンターテインメントとは、オーディオブックとポッドキャストという2本柱に並ぶもので、単なる朗読ではなく声のパフォーマンスが要求され、本ではなくドラマ化されており、サウンドデザインが必ず行われているという特徴があるものを指すという。
例えば、発表会で公開された米国のDCコミックス「The Sandman」の日本語版が該当する。日本語版では総勢50人を上回るキャストが登場し、サウンドも奥行きのある豪華なものになるそうだ。
The Sandmanのメインキャストである声優の森川智之さんは「Audibleという、絵がないところでの収録はプロでも難しい。収録するスタジオにモニターがあって、音の波形に合わせて日本語でセリフをしゃべるが、その尺に合わせるのが技術的に非常に大変だ。台本を見ながらやると、長い台詞を波形に合わせるのも難しい」と、オーディオエンターテインメント特有の制作の難しさを挙げる。
「いわゆるラジオドラマもやっていきたいが、現在制作しているところがあまりなく、過去の作品は版権の問題があってすぐに追加するのは難しい。海外では360度サウンドのコンテンツもあるので、今後はやっていきたいと思っている」(宮川氏)
ポッドキャストでは、TBSテレビで世界遺産のナレーションを担当している俳優の杏さんが、オリジナルの杏が読んだ本を地図にして起源を探るオーディオジャーニー「Journey To The Origin Ann」が配信される他、オーディオブックでは村上春樹さんの作品がついに日本語版として登場する。
宮川氏は「今回、聴き放題になったことで、コンテンツの尺やフォーマットの縛りが絞りがなくなったので、コンテンツの定義すらクリエイターが作っていけばいいという環境が整った。一緒にやっていくクリエイターの皆さんと、新しいものを生み出せるとわくわくしている。これまでなじみのなかったジャンルにチャレンジできるようになったことで、オーディオブックだけでなくポッドキャストに力を増やすことで相乗効果がある。聴き放題でその時間が増えると確信している」と語った。
最後に逢坂氏は「これまで声の可能性を信じ、音声の可能性をどこまで広げられるのかとAudibleをやってきたが、2022年は挑戦の年だ。これらのさまざまな取り組みを行う中で、唯一無二のオーディオエンターテインメントを目指していきたい」と抱負を述べた。
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