このように、近隣にライバル店舗があるエリアでは、双方が意識し合い、それらがメーカーに飛び火して営業マンが萎縮してしまうことがよくある。
その結果、無用なトラブルを避けるために、定番品についてはどちらにも同じ取引条件で卸すことになる。それぞれの店の値付けルールの違いで、例えば一方が「599円」のところ、もう一方が「598円」になるといった細かい差はあれど、メーカーは同じ価格で卸しているので我関せずというわけだ。近隣店舗の定番品の価格が横並びになりがちな理由がこれである。
一方でスポットでの取り扱いとなるチラシ商材については、提供可能な製品を複数用意しておき、この製品は店舗Aに、もう一方の製品は店舗Bに紹介するといった形で、不公平にならないよう配慮する。同じ製品だとチラシ商材としては新鮮味がないので、同じくらいおトクであることによって手打ちにするわけである。
つまるところライバル店舗が火花を散らすほど、メーカー営業マンのバランス感覚が発揮され、同じ定番品は価格が横並びになる一方で、スポットで提供されるチラシ商材は両者にバランスよく提供されるサイクルになるわけである。これでも実際は「ウチもあいつらと同じ商材がよかった」とモメることはあるのだが、そこは次回の借りにすればよい。
これらの事実から消費者目線で知っておきたいのは、近隣にライバル店舗があったとして、一方の店舗で飛び抜けておトクな商品が出た場合、しばらく待っていれば、もう一方の店舗で負けないくらいおトクな商品が出る可能性が高いということだ。チラシの特価品を狙う場合、このルールを知っておけば、普段足を運んでいないもう一方の店舗で、あまり目立たないおトクな商品をゲットできる可能性は高くなるはずだ。
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