プロナビ

「Microsoft Defender for Individuals」でMicrosoftが狙う市場:Windowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2022年07月06日 11時00分 公開

 今回から3回にわたってMicrosoftのセキュリティ戦略をカバーしたい。1回目は表題にもある「Microsoft Defender for Individuals」だ。同製品は6月16日に発表され、パーソナルユーザーをターゲットとしている。

 「あれ? Microsoft Defenderって確かデフォルトでWindows(10以降)に搭載されていて、必要なければ無効化するだけじゃないの?」と反応した方は、Windowsのセキュリティ事情をよくご存じだ。

 以前、「『他のセキュリティ対策ソフトはもういらない』とアピールするWindows Defenderの現状」のあおり風タイトルでMicrosoft Defenderと同社を含むPC向けセキュリティ対策ソフトウェアの最新事情を紹介したのが2018年4月であり、それから既に4年以上が経過して、特に個人ユーザーの間でMicrosoft Defenderは広く認知されていると思う。

 Windows 10/11には標準で搭載されている機能なので、同OSに切り替えて以降、もうサードパーティー製のマルウェア対策ソフトウェアを導入していないというユーザーはそれなりにいるはずだ。

 そんなMicrosoft Defenderなのだが、なぜこのタイミングでMicrosoft Defender for Individualsなる製品を出したのだろうか。この戦略の鍵を握るキーワードが、以前にも触れた「MetaOS」だ。

Microsoft Defender for Individualsのイメージ Microsoft Defender for Individualsのイメージ

MetaOS戦略の一環で提供されるソリューション

 モバイル向けOSの戦略でMicrosoftが失敗して以降、PCを除くプラットフォームの世界でMicrosoftが直接戦略に関わる機会を逸してしまった。結果として、モバイルOS回りの連携機能はAppleやGoogleに握られる形となり、Microsoftは両プラットフォーム向けにアプリやサービスを提供する1ベンダーという立場となった。

 一方で、同社は生産性ソフトウェアの世界では圧倒的シェアを持つ「Microsoft Office」という製品を抱えており、これをクラウド化する形でプラットフォームを選ばずにどこからでも利用できる「Office 365」、後の「Microsoft 365」を実現することになる。

 同社はMicrosoft 365を多くのユーザーに提供すると同時に、周辺サービスのアクセス窓口としてモバイルやPCなどプラットフォームを問わずにアプリを提供した。そしてこれらを入り口に、「クラウド」という1つのサービスプラットフォームでそれら全てをつないでいくという考えだ。

 MetaOSとは、こうしたエンドデバイスのプラットフォームにかかわらず、そこに提供されるアプリのような窓口を介してMicrosoft 365という1つのサービスプラットフォームを共有する、読んで字のごとくの「メタなOS」構想を示したものだ。今回提供されるMicrosoft Defender for Individualsもその1つであり、MetaOSの考えを通じて「WindowsではないデバイスにMicrosoft Defenderを提供すること」を主眼にしている。

 ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、Microsoft Defender for Individualsは「Gibraltar」の名称で内部的に呼ばれていたもので、Windowsのみならず、Android、iOS、macOSといったプラットフォームにMicrosoft Defenderの機能を提供する。長らく内部テストが行われており、2022年2月にリーク情報が出て少し話題に上ったことがある。「Individuals」とあるが、もともとは「Family」を想定していたもので、個人を含む一般家庭にあるPCの保護を目的とする。

 実は同様の仕組みを提供する「Microsoft Defender」には、他に中小企業のSMB市場をターゲットとした「Microsoft Defender for Business」や、大企業向けのエンタープライズ市場をターゲットにした製品と新たなセキュリティソリューション「Microsoft Entra」といったものが存在する。今後本連載の中で、市場概況を含めてこの話題を順番にフォローアップしていく予定だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー