ArmアーキテクチャのSoCに搭載されたNPU/VPUは、スマートフォンにおける「コンピューテショナル・フォトグラフィー(Computational Photography)」にも活用されている。
コンピューテショナル・フォトグラフィーは、機械学習ベースのAIを使ってカメラの画質を高めようという考え方だ。この流れはPCにおいても当たり前となりつつある。
2020年の「コロナ禍」によって、リモート(Web/ビデオ)会議が一気に広まり、会社支給あるいは自前のノートPCなどを使って初めて会議に臨んだ人も多いと思うが、その際に「うわっ、ノートPCのWebカメラってこんなに画質低かったんだ……」と驚いた人も少なくないだろう。
画質にこだわる人は、外付けの高画質Webカメラを使ったり、スマホのカメラを外付けWebカメラとして使えるアプリを使ったり、本当にこだわる人は一眼カメラをWebカメラとして使ったりすることもあったようだ。ともあれ、コロナ禍は意外な形でノートPCでは顧みられることがなかった“弱点”をつまびらかにしたということである。
そのこともあってか、ここ1〜2年はPCメーカーも内蔵Webカメラの品質向上に注力している。Intelは今回、この品質向上にAI技術からアプローチする「Intel Computational Camera」のデモを披露した。
低光量の環境や逆光の状態でも映像をきれいに見せる「リアルタイムHDR(ハイダイナミックレンジ)撮影」、映像の色味調整やフレーミング(被写体のリアルタイム追尾)は、どれもリアルタイムかつスムーズに行えている。
この技術を採用するノートPCは、Lenovoなど一部のメーカーから既にリリースされている。今後のノートPC選びにおいて、チェックしたいポイントだ。
もう1つ、カメラに関連して「AICV(AI based Computer Vision)」のデモも披露された。
その名の通り、AICVは「コンピュータビジョン(Computer Vision)」と呼ばれる画像認識技術をAIによって発展させたものである。今回は幾つかのデモが展示されていて、「Health Care and Wellbeing(ヘルスケアと良く生きること)」というデモでは、コンピュータビジョンを使って被験者の膝の上げ下げを検知し、膝の動きに関する機械学習データと照合することで、健康状態や問題を指摘する様子が披露された。
AICVは顔認識でも使われる。この技術自体は顔認証でおなじみのものだが、今回はこの技術を応用して、コンピュータビジョンを使ってメタバース空間で使える3Dモデルを作るというデモも用意された。
アプリの指示に従って、対象のオブジェクトの外観をなぞるように撮影していくと、わずかな時間で3Dモデルを生成できた。本格的に実用化されれば、リアル世界の商品やアイテムをメタバースの世界に持ち込むことが非常に簡単なものになるだろう。
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