最後にソフト面も確認しておこう。
OSは「Android 12」で、見た限りではメーカー独自のカスタマイズはほとんど行われていないようだ。ホームアプリは「Android One」端末で標準的に使われる「Quickstep」が採用されている。
唯一、メーカーカスタマイズといえるものとして、「LUCAステーションアプリ」がプリンストールされていた。このアプリは、アイリスオーヤマが発売しているワイヤレスTVチューナー「LUCAステーション」の視聴用アプリで、家庭内のどこでもTVを楽しめるというものだ。
実際に使ってみると、デバイス自体のできは悪くない。先に触れた通り、動画視聴やWebブラウジングは非常に快適で、ビデオ会議もそこそここなせる。
やはりSNSでの指摘通り、ネックなのは価格設定だろう。正直に比較すると、この価格であれば若干サイズは小さくなるものの9万2800円を出せば「iPad Air」が購入できるし、Androidタブレットがいいなら11万5500円の「Galaxy Tab S8+」という選択肢もある。「とにかく大画面で動画を見たい!」というなら、同じ画面サイズのスマートディスプレイ「Echo Show 15」が2万9980円で販売されている。
ただ、よくよく考えると、メーカーのアイリスオーヤマは、恐らくiPad AirやGalaxy Tab S8+をバリバリに“使いこなせる”ユーザーをTM152M4N1のターゲットには据えていないのだと思う。筆者の想像ではあるが、TM152M4N1(とTM152M8N1)のターゲット層はスマホの操作にはようやく慣れてきた層、もっとストレートにいうと高齢者層がスマホの次のステップとして使うタブレットとして位置付けているのだろうと感じる。
大画面でコンテンツを楽しみたいと考えた場合、高齢者はよく分からない海外メーカーの製品よりも、国内メーカーであるアイリスオーヤマの製品の方が安心できると考えても不思議ではない。このようなユーザー層は、ネットを使った製品比較を全くしない可能性も高く、「知っているメーカーの製品」あるいは「TVの通販番組で紹介されていたから」という理由でTM152M4N1/TM152M8N1を購入する可能性は高い。
このような背景があるとするならば、TM152M4N1/TM152M8N1は「数を売る製品」でない可能性もあり、そうなると量産効果の都合から製品単価が上がってしまっても不思議ではない。24時間体制ではないものの、電話によるサポート体制も整えているため、その分のコストも上乗せされているかもしれない。
製品の出来、そしてターゲット層に向けた機能はバッチリ……なのだが、スペックを考えるとどうしても価格が気になってしまう――筆者は、TM152M4N1/TM152M8N1の想定するユーザー層には当てはまらないのだろうが、バッチリと当てはまる層もまたいるはずだ。
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