米Micron Technologyは5月22日、マイクロンメモリ ジャパン(旧エルピーダメモリ)の広島工場で記者会見を行い、会見に先がけて発表された広島工場への最大5000億円の投資プランや人材育成に関する日米大学パートナーシップ(UPWARDS for the Future)についてのビジョンを示した。
この会見には、同社社長兼CEOのサンジェイ・メロートラ(Sanjay Mehrotra)氏を始め、広島県知事の湯崎英彦氏、東広島市長の高垣廣徳氏もゲストとして出席し、地域経済への影響や支援体制について語った。
Micron Technologyはこの会見に先がけ、5月18日にEUV(Extreme Ultraviolet、極端紫外線)露光技術を日本に導入し、次世代の1γ(ガンマ)プロセスノードによるDRAMの生産を行うことを発表している。これにより、同社は日本で初めて量産にEUV技術を導入する半導体企業となる。
EUVは、2000年代から使われてきたArF(アルゴン・フッ素)に比べて波長が大幅に短い。プロセスノードの効率的な微細化を可能にし、低コストで大容量のDRAMを生産できる。一方で、光源を含めて要素技術が大きく変化するため、膨大な初期投資が必要になる。
同社は、日本政府の支援を前提に次の数年で最大5000億円を投資し、2025年にEUV設備を導入、2026年に1γプロセスノードでの量産開始を目指す。
サンジェイ・メロートラ氏は、このプランについて「広島工場には優秀な人材がおり、最先端のメモリ技術の開発/製造においてエクセレントな仕事をしてきた。この5000億円の投資は、我々の広島チームへの信頼と、当社が日本に対して継続的なコミットメントしていくことを明示するものだ」と広島工場が同社にとって重要な拠点であることを強調した。
続けて「1γプロセスノードは、チップの集積度、パフォーマンス、省電力性を向上させる。この技術革新により半導体業界でのリーダーシップを継続し、IoT/5G/自動車/生成系AIなど、成長を続けているDRAM需要に応える」と意欲を語った。
また同社は、5月22日に「半導体の未来に向けた人材育成と研究開発のための日米大学パートナーシップ(UPWARDS for the Future)」の創設を発表しており、これについてもビジョンが示された。
このパートナーシップには、日米両国での強固で高度な技術を持つ半導体人材の育成を目的とし、Micron Technology/東京エレクトロン/米国国立科学財団(NSF)、そして広島大学を含む日米11大学が参画している。
今後5年間で6000万ドルが拠出され、最先端の半導体教育について各組織が連携して学生に学びの機会を提供するとともに、新たな研究活動の推進を行う。また、DEI(Diversity, Equity and Inclusion)促進の観点から、この分野への女性の進出を積極的に支援するという。
メロートラ氏は「将来の拡大と発展に向けて、優秀な人材をより多く雇用していくためのパイプラインとして重要な意味を持つ。半導体における競争優位を保つ上で有効な、大きなインパクトがあるイノベーティブなプログラムだ」と、この取り組みの重要性を強調した。
同氏は、今回の2つの取り組みに関して「両国政府、および地域(広島県と東広島市)のグレートなサポートによって実現することができた」と、湯崎英彦氏(広島県知事)と高垣廣徳氏(東広島市長)をこの会見に招いた意図を説明した。
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