ハイアマチュアからプロユースまで 要点をおさえた堅実なクリエイター向けPC「raytrek R5-RL6」写真向けモデルを試す(3/3 ページ)

» 2023年06月15日 12時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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ゲーミングならミドルレンジ相当だがクリエイティブ用途なら必要十分

 内部ハードウェアについて見ていこう。まずCPUはIntel Core i7-13700HXと最新世代のCore i7で、Pコア8基16スレッド、Eコア8基8スレッドを内蔵しトータル24スレッドを扱える。ブースト時の最大クロックは5GHzと高く、先のCINEBENCH R23のスコア通り、マルチスレッド性能もシングルスレッド性能も十分だ。本機より上位のCPUもあるが、本製品の価格を見ればコストパフォーマンスの高さが伝わるだろう。

photo CPU-Zの画面
photo CINEBENCH R23の動作モード別テスト結果

 GPUはNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptopで、グラフィックスメモリは8GBだ。型番でも想像できる通り、ゲーミング性能としてのターゲットはフルHDであり、AAAタイトルあたりになると2560×1440ピクセルでは画質オプションをやや落とす必要がある。

photo GPU-Zの画面(NVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU)
photo CPU内蔵の統合GPU機能も自動切り替えで利用できる

 仮に本機をゲーミングPCとして見ると、ミドルレンジスペックだ。CUDAがメインの用途ではより上位のGPUの方がよい。また、AIなどメモリ搭載量が重要な用途も、8GBというグラフィックスメモリがやや不足と感じるだろう。ただ、写真や映像で用いるGPGPU、OpenCLなどでは十分なスペックで、特に映像では最新のハードウェア/ソフトウェアエンコーダーを活用できる。

 メモリはDDR5-4800を採用し、冒頭の通り容量は16GB(8GB×2)または32GB(16GB×2)だ。BTOカスタマイズでは最大64GBまで拡張できる。DDR5はDDR4と比べるとまだコストが高いものの、特にクリエイティブ向けのアプリケーションではより高クロックであるところが効いてくる。ここもクリエイター向けのスペックといえるだろう。

photo 採用するメモリの規格はDDR5-4800で、容量は16GBだ

 ストレージはM.2 NVMe SSDを採用しており、接続はPCI Express 4.0 x4対応となる。標準構成の1TBの他、BTOカスタマイズでは2TB/4TB/メーカー指定も選べる。

photo CrystalDiskInfoの画面。評価機はMicro 3400を採用していた
photo 標準構成時の1TB SSDは、シーケンシャルリードで毎秒6.7GB、同ライトで毎秒5GBと高速だ

 写真向けモデルとしてみて、標準構成のスペックは十分といえる。先に述べた通り、写真向けモデルとベースモデルは同じスペックだ。PCハードウェアに明るくなくても、写真を扱うPCが欲しい人がこれを選べば間違いないという点がポイントになる。

 なお、これとは別にAdobe Creative Cloud推奨スペックモデルもあるわけだが、こちらはPhotoshopやLightroom ClassicだけではなくPremiere ProやAfter Effectsも想定したものだ。メモリを16GB→32GBとカスタマイズする際の価格差は1万5000円で、どちらのモデルがお得ということはなく同じ価格になる。

テストスコアも十分! 静音性もゲーミングモデルより静かで快適

 それではraytrek R5-RL6のベンチマークスコアを紹介していこう。計測時の電源プロファイルはTurboとしている。

 PCMark 10のスコアの通り、ディスクリートGPUを搭載する本製品は高性能ノートPCといえる。クリエイティブ用途はもちろん、さまざまな用途で快適さが得られるだろう。また、3DMarkやFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのスコアを見ると、ゲーミングでも十分に対応でき、2560×1440ピクセルでもまずまず重めのゲームが快適なフレームレートで楽しめる。また、VRMarkのOrange Room、Cyan Roomの2つはターゲットFPSを余裕で満たしている。

photo PCMark 10のテスト結果
photo 3DMarkのテスト結果
photo FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのテスト結果
photo VRMarkのテスト結果

 Procyonは肝心のPhoto Editing Benchmarkが実行中のエラーで計測できなかったので省略するが、AI Inference Benchmark for Windows(CPU:float32およびGPU:float32)とVideo Editing Benchmarkは計測できた。ProcyonはGPUドライバのバージョンやAdobe CCのバージョンとの相性によりスムーズに計測できる方がまれなので、本製品の問題とはいえない。

photo UL Procyonのテスト結果

 ベンチマークを総括すると、各スコアの通り一般的なイメージでのハイエンドノートPCと呼べる性能である。写真や映像については問題ない。DTMのベンチマークは計測していないが、このスコアとDTM向けモデルがメモリ32GBである点を考慮すれば、これも問題ない性能といえるだろう。その上で、VRやゲーム開発もある程度まで視野に入るといえる。

 もちろん、デスクトップPCの方が価格に対して高性能ではあるが、本製品はクリエイターの中でもアクティブな人向きだ。取引先に出向く機会がある場合やリモートワーク、気分転換にワーケーションする人に適している。

 動作音に触れておくと、前述の通り電源設定:Turboとしてもファン回転数制御は効いており、ゲーミングモデルと比べればややマイルドな印象だった。cTDPやファン回転数でゲーミングモデルのようにギリギリまで攻めた設計ではないようだ。もちろん、その分がスコアに影響している印象はあるが、クリエイターが望む安定性、快適な作業性を重視していると捉えればむしろメリットが勝るだろう。

ハイアマチュア〜プロのサブ機までカバーするクリエイター向けモデル

 ここまでレビューしてきた通り、raytrek R5-RL6の写真向けモデルは性能面では写真の現像、補正といった作業を難なく、スピーディーにこなせる。ゲーミングノートPCに例えるなら価格的にもミドルレンジ帯で、AAAタイトルを高解像度/高画質で楽しむにはもう1つ上のスペックが欲しくなるところだが、クリエイティブ用途として使うGPUとしては十分だ。コストパフォーマンスもよい。

 例えば、ホームユース──アルバム管理が目的の人でも、一般的なノートPCより広色域のパネルで作業したいというニーズはある。ハイアマチュア向けとしては選びやすいモデルといえるだろう。また、プロユースでは主にサブ機として選べるモデルではないだろうか。サンプルを伴う打ち合わせなどでモバイルするニーズには最適だ。

 ゲーミングノートPCをクリエイティブ用途で使うということも多いが、その外観がビジネスにはそぐわないというシーンもある。クリエイティブ向けのraytrek R5-RL6は、そうしたニーズをしっかり拾える製品といえるだろう。

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