以上のように、かなり癖のある製品というのが、実際に試用した感想だ。自宅内での据え置き利用と、外出先に持ち歩いての利用と、全く異なる使い方を1の製品に同居させているために、機能がうまく連携できていない印象である。
何より困るのは、ざっと見た限りメーカーサイトにはこういった説明が現状見当たらないことだ。筆者は前述の競合製品(Govee)の利用経験があったため挙動がおかしいことに気づいたが、サポートに問い合わせて初めて理解できたことも多く、多くの一般ユーザーはトラブルに遭遇しても何がトリガーになっているのか理解不能だろう。機能そのものが改善されるのがベターだが、少なくともホームページ上に説明を追加するのは必須のように思える。
さしあたって個人的に要望したいのは、データがアプリに読み込まれなかった期間は、グラフ上で空白で表示してほしいということだ。現状では、特定期間のデータが読み込まれなかった場合、グラフ上ではその特定期間の直前と直後がつなぎ合わされて表示されてしまうので、欠落していることに気づきにくい。
これに気づきさえすれば、クラウドサービスをオフにしてデータを取り込むことで解決できるのだが、現状では気づかないままスルーしかねず、そのままデータが削除されてしまう危険がある(ちなみにGovee製品ではデータの欠落期間は、空白で表示されるためすぐに分かる)。ユーザーの側としても、うまく取得できなかったことを誤魔化されているように感じるので、印象もよろしくない。
またアプリ上で表示されている「更新時間」が、単にデータの更新操作を行った時間にすぎないことを、分かりやすく表示してほしい。この更新時間は、データが読み込まれようが読み込まれまいが、更新操作を行うと上書きされてしまうので、その時間までのデータが取得できていると勘違いしがちだが、実はそうではないからだ。
実際には同じ画面の下に「最後に記録された」という項目があり、これこそがデータを取得できている最終時刻なのだが、場所も離れているため気づきにくく、そもそも更新時間との違いも分かりにくい。グラフを見れば更新時間とズレが生じているので判別がつくとはいえ、「更新時間」と「最後に記録された」を併記するか、もしくは後者に一本化するのがベターだろう。
最後になったが、今回紹介しているSwitchBotのアプリは本稿執筆中にデザインが一新され、これまでホーム画面に表示されていた通信方法(クラウドもしくはBluetooth)のアイコンや、快適度のアイコンが表示されなくなってしまった。データのサマリーを表示する画面としてのホーム画面の価値が(特に温湿度計にとっては)劇的に下がってしまった格好だ。
そもそも、前のデザインでも表示されている温度湿度がいつのデータなのかという基礎的な情報が表示されておらず、リアルタイムの温度湿度の異常が発生しても見逃しやすい仕組みだったのだが、今回のデザイン変更ではそれらが改められるどころか、さらに分かりづらくなってしまっている。
こうした基本的なところに立ち帰ってアプリを改善してもらわなければ、どれだけ見どころがありユニークな使い方が可能な製品であっても、いまひとつ信頼できないというのが、今回試用した上での感想だ。今後、どれだけブラッシュアップされるか注目していきたい。
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