さて実際に1カ月ほど使ってみたが、率直に言ってかなり癖のある製品だ。メーカーサポートに確認した限り、現行の製品にはメーカーが本来意図していない挙動もあるようなのだが、ここでは筆者の手元にある個体で、本稿執筆時点(2023年5月28日現在)で確認できる挙動について紹介する。ファームウェアバージョンは最新の「V0.4」で検証している。
まずスマホアプリを起動すると、本製品で取得した温度湿度などのデータが、アプリのホーム画面に表示される。これにより、複数地点の温度湿度などのデータを、手元のスマホで知ることができる。これが本製品の一般的な挙動だ。ちなみにデータは4秒ごとに更新され、グラフのデータは1分ごとに更新されると説明されている。
この挙動が常に安定していれば、一定の温度に達したらハブ経由でスマホに通知を送ったり、他のデバイスをオン/オフしたりするなどの応用的な使い方も視野に入ってくるのだが、実際には設定によってこれらができる場合とできない場合があり、使い方にも左右されるのでややこしい。
そもそもの前提として、本製品のデータ取り込みは、Bluetooth経由でスマホに直接転送するか、もしくは同社のハブを経由してWi-Fiで取り込むかの2つの方法がある。ハブがなければ前者、ハブがあって本製品を自宅内に設置している場合は後者と考えればよい。ちなみに後者の場合は、設定にある「クラウドサービス」をオンにする必要がある。
ややこしいのは後者の設定で、つまりクラウドサービスがオンのまま、ハブと通信できない外出先に持ち出す場合だ。この場合、近くにハブがないことが分かった時点でBluetoothに切り替わってデータが転送されればよいのだが、実際にはそうはならず、スマホでいくら更新を行っても更新時刻が上書きされるだけでデータは転送されない。
その場合でも、ハブの圏内に戻ってきた段階で、本体内に貯め込んでおいたデータを自動的に転送してくれるのならまだマシなのだが、圏外にいた間のデータは欠落したまま計測が続行されてしまう。更新時間だけは上書きされる上、グラフ上は欠落期間の直前と直後とが連続しているように表示されるので、欠けていることに気が付きにくいのが厄介だ。
これを回避するには、クラウドサービスを手動でオフにし、データを手動更新で取り込むしかないわけだが、本来ならばアプリ側で自動的に行っておかしくない操作をわざわざ行うというのはどうもふに落ちない。かといってクラウドサービスを常時オフにすると、温度通知やAlexaやGoogleアシスタントの連携もできなくなってしまう。
こうした仕様ゆえ、本製品は外出先に持ち出す(=近くにハブがない)場合は、クラウドサービスをオフにしてスマホからBluetoothで直接データの読み込みを行い、自宅内でハブの通信圏内に設置して使う場合は、クラウドサービスをオンにしてハブ経由でデータを読み込むといった具合に、用途によって設定を切り替えるのが、現状ではベターだと考えられる。設定を変えずに両方の役割をこなすのは、現状の仕様では困難だ。
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