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デルの法人向けPCがシェア拡大できた理由とは? 成果が出た2つの取り組みを執行役員に聞く(4/4 ページ)

» 2023年07月07日 12時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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PCを中心に周辺デバイスを組み合わせてエコシステムとして提案

 もう1つの取り組みは、同社のWebサイトを通じて、さまざまなユースケースを紹介する取り組みだ。ここでは、カフェや店舗、オフィスやホームオフィス、工場など、具体的な場所を設定している。その中で、ノートPCやデスクトップPCだけでなく、エコシステムを組み合わせた利用シーンを提示する。

 PCメーカーが作るWebサイトの場合、PCが真ん中に大きく配置されるケースが多いが、同サイトでは、シーン全体の中で、PCも、アクセサリーも、むしろ存在感を前面に出さずに、周囲に溶け込みながら利用する様子をみせている。

 カフェでは、All In One PCとワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスを使用したり、小売店では超小型ボディーのデスクトップPCとモニター、小型スピーカーをセットで利用したりといった提案を行っている。利用シーンは、回転させていろいろな角度から見られるようになっており、想像をかき立てることができる。

こちらはカフェでの利用シーン。10種類のProduct Showcaseが用意されている こちらはカフェでの利用シーン。10種類のProduct Showcaseが用意されている

 「ノートPCやデスクトップPCの紹介だけでなく、ハイブリッドワークを始めとした新たな働き方に必要なエコシステムも一緒に提案することが、より重要になっている。当社では、これを2023年の取り組みの重点施策の1つに位置づけている。生産性を高めるためには、PC本体とエコシステムの組み合わせが、最適な解になる」(山田氏)とする。

 ハイブリッドワークの浸透によって、よりメリットを感じられるようになったドッキングステーションや、ハブとしても利用できるUSB Type-Cモニターの提案も加速することになりそうだ。

 例えばUSB Type-Cモニターは、ノートPCとUSB Type-Cケーブル1本をつなぐだけで、マルチディスプレイ環境を実現するとともに、ハブ機能を有しているために、モニターに接続した周辺機器をそのまま利用できる。同時にノートPCに対して、モニター側からも給電が可能だ。

 「外出や会議が多く、1日に何度も席に戻るたびに、モニターを始めとする周辺機器にケーブルを接続しなおす作業が発生するという人が多くなった。ドックキングステーションやUSB Type-Cモニターを利用することで、接続作業時間のロスを減らすことができる」(三井氏)とする。

 最近では、机の上には、ケーブルを含めてなにもない状況にしたいという要望があり、そこにUSB Type-Cモニターやワイヤレスマウスの提案が効果的だという。

ケーブル1本でPCと接続できるUSB Type-C対応モニターが人気を集めている ケーブル1本でPCと接続できるUSB Type-C対応モニターが人気を集めている。ディスプレイ側にUSBハブ機能があれば、ドッキングステーションとしても利用可能だ

 山田氏は「デルのエコシステムは過去最高にラインアップがそろっている」と語ったが、単に製品の幅広さだけが特徴ではない。中には、日本市場からの要望が反映されたものもある。

 「コロナ禍において、お客さまからさまざまな要望をいただき、それがエコシステムの開発を後押しした。長時間利用するため、もっと耳あたりいいヘッドセットが欲しいという要望や、こんな使い方ができるドッキングステーションが欲しいといった要望を反映した製品が生まれ、前倒しで製品化されたものもある」(山田氏)としながら、「日本からの要望も数多く反映されている。中でも、日本から要望が多かったのが、軽量ACアダプターが欲しいという声だった。海外のユーザーでは、ACアダプターは大きくて当たり前というような様子があるが(笑)、日本の声を反映し、大幅に小型軽量化したものを用意している」という。

 また、持ち運ぶ際に、バックパックのなかにきれいに収納したいといった要望もあり、PCの収納に最適化したバックパックも数多く取りそろえている。

周辺デバイスはもちろん、PC用バッグやキャリングケースも数多くのラインアップを用意する 周辺デバイスはもちろん、PC用バッグやキャリングケースも数多くのラインアップを用意する

 デル・テクノロジーズは、5月22日〜25日(現地時間)、米ラスベガスで、年次イベント「Dell Technologies World 2023」を開催した。PC事業に関連する取り組みとしては、「Future of Work」に関する取り組みなどを発表している。

 さらに、14型の軽量モデルとなる「Latitude 7440 Ultralight」を始めとした最新PCも紹介された。キーボードバックライトをミニLEDに切り替えることで、電力使用量を最大75%削減したり、Latitude製品初のハプティックコラボレーションタッチパッドを採用したり、Zoomの会議中にマイクやカメラのオン/オフするなど、簡単に制御できるタッチパッド機能も紹介した。

 三井氏は「実際に製品を使ってもらうことで、その良さを理解してもらえる機能も多い。まずは、デルの法人向けPCを、より多くの人に体験してもらうことが大切である」とする。

 こうした取り組みを加速することが、デルの法人向けPC市場におけるシェアを、さらに高めることにつながりそうだ。

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