思い描いていた使い方は実現できました。しかし、細かな部分に目を向けると気になる点もあります。顔を動かした時、空間ディスプレイの表示がやや荒れるのです。表示している文字がブレるイメージで、顔を動かしながら文字を読むのはやや厳しいです。人によってはこれがストレスに感じられるかもしれません。顔の固定を意識すると肩が凝る一因にもなりそうです。あと少し、ディスプレイ品質の向上が必要だと感じます。
そもそもの問題として、完璧な映りを体感するためには、XREAL Airを完璧に装着する必要があります。最初の壁は視力の問題でしょう。幸い、XREAL Airの場合は専用レンズを装着できます。しかし、それに加えてレンズの投影部分との距離感も非常に重要です。
XREAL Airはノーズパットのサイズとグラスのテンプル部分で距離を調整できますが、私の場合はどのセッティングでも完璧にフィットできませんでした。レンズとの距離を少し離すと見やすくなるため、ノーズパットと鼻の間に少し詰め物をすることでフィットしました。万人に適切なフィット感をいかに提供できるか。ARグラスの普及の鍵だと感じます。
実は、XREAL AirをPCの拡張ディスプレイとして便利に使うために、macOS向けの専用アプリ「Nebula」がβ版としてリリースされています。
XREAL AirをPCに接続すると、冒頭で説明したように単なる外付けディスプレイを1枚つないだ状態になりますが、このアプリを使って接続すると、最大3画面のディスプレイとして認識させられるようになります。
そして、XREAL Beamを装着した時と同じように、表示位置を空間に固定できます。XREAL Beamよりは固定精度がやや劣るように感じますが、実用レベルです。このアプリがもっと進化すれば、表示位置の固定を目的としてXREAL Beamを使わなくても済むようになるかもしれません。Windows向けのアプリも準備中のようです。今後に期待です。
なお、少なくとも現時点ではNebulaアプリとXREAL Beamを同時に使うことはできないようです。併用できるとさらに便利になりそうなので、ぜひ実現してほしいです。
XREAL BeamとNebula for PCとは何が違うのですか?
1つの画面の投影であれば、XREAL BeamとNebula for PCからサービスをお選びいただくことができますが、Nebula for PCはより多くのディスプレイモードを備えています。ただし、アプリとの互換性の制約があり、現時点ではβ版のみの提供であるため、XREALのサポート対象外となっています。Nebula for PCは、しばらくの間、実験的な体験として提供する予定です。
XREAL AirとBeam、そしてNebula。拡張ディスプレイの用途として、これらは十分実用レベルにあると言えます。しかし率直なところ、物理的なディスプレイにはまだ勝てないと感じます。なぜなら、やはりARグラスをかけること自体が煩わしいです。超時間装着していると、特有の疲労感があります。目が疲れるのです。
また、実は私のメインPC環境は5画面で使っているのですが、これに勝る環境をXREAL Airで作れるわけではないので、やはりメインでの利用とはいきません。
しかし、物理的な空間の制約がある場合は話が違ってきます。「外部ディスプレイを置くスペースがない」「できるだけ荷物を軽くして移動したい」「人に画面を見られたくない」──このようなケースで威力を発揮します。
物理ディスプレイに劣るとは言いましたが、実用レベルには到達しています。外付けディスプレイがない環境よりも、XREAL Airがあった方が上です。そうした状況にお悩みの方にオススメできる一品です。
ただ、忘れてはならない大切なことが1つあります。それは、XREAL Airを使っている姿が、サングラスをかけた怪しい人に見られかねないという点です。
どこでも使える製品とは言い難いですね。私もカフェで使う度胸はまだありません……壁に向かって座るような場所だったらいいのですが。この点については、ARグラスの普及と共に解消していくかもしれませんね。
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