日本HPは新品の法人向けデスクトップPCやノートPC、ワークステーションを全て受注生産としており、カスタマイズ製品であっても5営業日で納品する。それを実現するのが都内に工場を持っている点だ。
同社の吉田敦子氏(執行役員 サプライチェーンオペレーション統括本部長)によれば、製造と物流の拠点を1か所にまとめたことで、受注から出荷までの時間を短縮しつつ、輸送時の振動や衝撃による不良品の発生を低減させたという。
さらに前述したサステナビリティに関連して、PCを梱包(こんぽう)する緩衝材を発泡スチロールからパルプモールドやダンボールに置き換えている。さらに製品を工場内で移動させる時に使う箱やパレットも紙製に置き換えはじめており、環境に配慮している。ダンボール製の緩衝材は日本で開発され、他国でも利用されているという。
HPはプリンティング事業も重要な経営の柱になっている。そもそもデジタル化の波によって印刷業界は縮小傾向にあるのではないかという見方もあるが、現在はオンデマンドで必要な少数の印刷物を必要なだけ刷るという需要が高まっており、HPが得意とするデジタル印刷には追い風だという。
同社のデジタル印刷機「HP Indigo」シリーズは全世界119カ国、4199社で7598台が稼働しており、さらにハードウェアだけでなく顧客のプリンティング事業を支援するような取り組みにも注力している。
日本HPの礪波(となみ)徹氏(デジタルプレス事業本部長)によれば、国内外でECサービスを手掛ける大洞印刷(岐阜県本巣市)が受注から出荷まで、HPのワークフロー管理システムを導入したところ、デジタル印刷による売り上げが2021年から前年比で二桁成長を遂げたといった日本国内の成功事例も出てきたという。
礪波氏は「製品への要望や最新事例の共有といったコミュニティーを形成しており、ビジネスを成功に導くことをお互いにできるようなプラットフォームを提供している」と、日本HPのプリンティング事業が単なるハードウェアの提供だけでなく、事業開発支援に重きを置いていることをアピールした。
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