Orbi 9は、他のOrbiシリーズと同様にスマートフォン/タブレット用の「Orbiアプリ」(Android版/iOS・iPadOS版)で簡単にセットアップできる。ただし、アプリを使ったセットアップには「ネットギアアカウント」を取得する必要がある。
ネットギアアカウントを使わずセットアップする場合、あるいはPCからセットアップする場合は、本体底面の初期接続情報を使って無線LANネットワークに接続してWebブラウザから「管理ページ」にアクセスしよう。アクセス方法などは、付属のセットアップガイドで確認できる。
インターネット上のサーバでの速度計測は、時間帯や通信経路によって“ムラ”が出てしまう。そこで、今回は以下のPCに「OpenSpeedTest Server」を導入しサーバとして仕立てた上で、Orbi 9の10GBASE-Tポートと直結して速度を計測してみよう。
肝心のWi-Fi 6Eデバイスだが、今回はWi-Fi 6E対応のノートPC「ThinkPad X13 Gen 3(Intel」とスマートフォン「Pixel Fold」を用意した。いずれも5GHz帯/6GHz帯における最高通信速度(理論値)は2.4Gbps(2401Mbps)となる。
これらのデバイスで同じ場所から「6GHz帯」と「5GHz帯」でつないだ際の速度を比べる……のだが、Orbiシリーズでは周波数帯ごとにアクセスポイントの名前を分ける機能がない。そこで、デバイスごとに以下の方法を使って明示的に6GHz帯と5GHz帯をつなぎ分けることにした。
テスト環境の都合から、今回のテストでは“強力なWi-Fiルーター”としてルーター単体で運用した。果たして速度にはどれくらいの差が出るのか……?
なお、参考値として筆者が自宅で使っているWi-Fi 6ルーターの5GHz帯(最大1201Mbps、有線ポートは1000BASE-T)で通信を行った際の通信速度も併記しておく。
ルーターを設置したリビングの対角線上の反対側(約2.5m離れた場所)で計測した結果は以下の通りとなった。
自宅に5GHz帯のデバイスが“乱立”していることと、隣近所も5GHz帯のルーターを使っているせいか、Orbi 9の6GHz帯は非常に高速に通信できた。
次は、風呂場で計測してみた。風呂場で使うのはスマホ程度だが、これまた“鬼門”で、普段は5GHz帯で通信すると通信が不安定になることもある。スマホで動画を見る機会が多いのと、Wi-Fiルーターから一番遠い場所にあるからという理由から場所を選定している。
ひとまず、結果は以下の通りだ。
普通、5GHz帯よりも6GHz帯の方が遮蔽(しゃへい)物に弱い傾向にあるとされる。しかし、筆者の自宅ではそれよりも5GHz帯の混信の影響が強いせいか、基本的には6GHz帯の方が高速に通信を行えた。
少し気になるのは、Orbi 9で5GHz帯の通信を行った際の上り通信速度が極端に遅いことである。サーバやスマホの再起動を試してみたのだが、レビュー期間中に改善することはなかった。
Orbi 9は、基本的に「広い戸建て住宅に設置するメッシュWi-Fi 6Eルーター」だが、電波の出力が結構強めなので、「少し広めのマンション(あるいはアパート)に1台置く」という使い方でも結構使いやすい。
ただし、1台で運用する場合は「ルーター」が必要となる。サテライトにはルーター機能が一切備わっていないため、単体で使えない。パッケージなどにはしつこく「ルーター」「サテライト」と書いてあるので、間違えることはないだろうが、気を付けたい。
Orbi 9のルーターには10GBASE-Tポートもあるため、昨今の高速インターネット回線も生かしやすい。テスト結果からも分かる通り、有線ポートが無線のパフォーマンスをスポイルすることもない。「1Gbps超のインターネットを導入したけど、無線が遅くて……」という人(家庭)で、Wi-Fiデバイスの台数が多いという場合は、本機は間違いなくお勧めだ。
性能面でめっちゃ“強い”本機だが、冒頭で触れた通り価格も“強い”。ルーターが現在のサテライト単体の価格で買えるのであれば「たくさんつなげても速いWi-Fi 6Eルーター」としてお勧めできる。複数階建ての戸建て住宅なら、サテライトと組み合わせることで真価をより発揮しやすいはずだ。
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