バッファローが5月上旬、フラグシップWi-Fiルーター「WXR-11000XE12」を発売した。6GHz帯の通信にも対応する「Wi-Fi 6E」に対応する2機種目のルーターにして、「WXR-6000AX12シリーズ」以来、約3年半ぶりに設計を刷新したフラグシップモデルでもある。税込みの実売価格は、3万5000円〜5万円弱と若干幅がある。
この記事では、本モデルの“実力”がフラグシップとしてふさわしいか、テストを交えてチェックしていく。
1999年に規定された「IEEE 802.1a」以来、IEEE 802.11シリーズの無線LAN(Wi-Fi)規格では長らく、「2.4GHz帯」と「5GHz帯」の2つの周波数帯の電波を利用してきた。2019年に策定された「IEEE 802.11ax」では新たな周波数帯として「6GHz帯」が定義され、2021年から法令整備が終わった国/地域から順次、6GHz帯の利用も始まっている。
IEEE 802.11シリーズの普及/認証活動を行っている団体「Wi-Fi Alliance」では、IEEE 802.11ax規格について、従来の2.4GHz/5GHz帯を利用するものを「Wi-Fi 6」、両帯域に加えて6GHz帯にも対応するものを「Wi-Fi 6E」と名付けた。Wi-Fi 6Eの「E」は「Extend(拡張)」を意味しており、6GHz帯への対応の有無をチェックする上での“バロメーター”として機能している。
日本における6GHz帯の無線LANは2022年9月2日付で“解禁”され、同日からWi-Fi 6E対応の無線LANルーターが順次発売されている。クライアント機器についても、一部のPCやスマートフォン、タブレットにおいてWi-Fi 6Eに対応するためのアップデートが行われている。
Wi-Fi 6Eの国内解禁に伴い、バッファローは2022年9月5日に同規格対応の初号機「WNR-5400XE6」を発売した。今回紹介するWXR-11000XE12は、同社のWi-Fi 6E対応ルーターの第2弾にして、満を持して登場したフラグシップモデルということになる。
バッファローの無線LANルーター「AirStationシリーズ」のラインアップは幅広い。その中で、ここ数年のフラグシップモデルは、共通のデザインテイストを貫いている。
具体的には「2つの平面を中央で貼り合わせたようなフロントデザイン」「上部から飛び出す4本の外付けアンテナ」の2点がフラグシップの“証”となっている。通信の高速化と対応周波数帯の増加に伴い、全体的にボディーは大型化する傾向にあるが、いずれにせよ見れば「AirStationのフラグシップモデルだ」と一目で分かる。
新たなフラグシップモデルであるWXR-11000XE12もご多分にもれず、このデザインを踏襲している。もっというと、先代のWXR-6000AX12シリーズと“うり二つ”だ。具体的な寸法は、スタンドを除いた本体部が約300(幅)×57(奥行き)×195(高さ)mmとなっている。アンテナ部(約201mm)を真横と真上にめいっぱい広げた場合、幅は最大64cmほど、高さはスタンド込みで最大42cmほどになる。
アンテナは円筒状ではなく、竹とんぼの羽根のような形をしている。これは単なる意匠ではなく、根元部分に6GHzシングルバンド、先端部分に2.4GHz/5GHzデュアルバンドのアンテナが仕込まれている。バッファローでは、このアンテナを「トリプルバンドダイポールアンテナ」と呼び、本モデルのアピールポイントの1つと位置付けている。
一般的な家庭用無線LANルーターのアンテナには、内蔵と外付けの2種類がある。このモデルを見れば分かる通り、絶対的な性能を重視するなら、外付けアンテナの方が有利である。バッファローによると、内蔵アンテナを採用するハイエンドモデル「WSR-6000AX8シリーズ」とスループット(実効通信速度)比較した場合、2.4GHz帯では約1.4倍、5GHz帯では約1.1倍の速度となったという。
外付けアンテナは、アンテナの向きを調整することで、目的の地点にまで電波を到達させやすいというメリットもある。
本機の外付けアンテナは、3軸での回転に対応する。基本的には電波を届けたい方向に対してアンテナの平らな面を向けるのがベストな向きとなる。例えば、同じ階のみで使用する場合は垂直に立て、他の階でも使用する場合は横に寝かせるとよい。
パッケージには印刷物として「アンテナガイド」が付属している。このガイドでは標準設定の他、「同一フロアでの通信に特化する場合」「上下フロアで通信する場合」のお勧めアンテナ配置も紹介されているので、参考にしてもらいたい。
本機のスペックを、もう少し詳しく見ていこう。
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