WXR-11000XE12に付属している「セットアップガイド」には、3つのモデルケースに従った初期設定方法が記載されている。
1つ目は「既存のバッファロー製Wi-Fiルーターを取り換える」というケースだ。この場合は「スマート引っ越し機能」を使うと手っ取り早い。この方法は古いルーターの設定をバッファローのWebサーバを経由して新しいルータにコピーするという手法で、SSIDや暗号化キーなども一括して移行されるため、クライアント機器側の設定変更も不要だ。
2つ目が「他社製のWi-Fiルーターを取り換える」というケースである。この場合、取り換え元となる他社製ルーターがWPS(Wi-Fi Protected Setup)に対応していると「無線引っ越し機能」を利用できる。
本来、WPSはクライアント機器の接続設定を簡略化するための機能である。無線引っ越し機能では、WXR-11000XE12が一時的にWPSクライアントとなり、古いWPS対応Wi-FiルーターからSSID(アクセスポイント名)と暗号化キー(パスワード)を取得することで引き継ぎを行える。
引き継げるのはSSIDと暗号化キー“だけ”なので、ルーターに他の関する設定はやり直しとなる。ただ、クライアント機器側の設定変更が不要なのはスマート引っ越し機能と同様なので、手間は大きく省ける。
3つ目は「純粋な新規セットアップ」だ。乗り換え元の無線LANルーターがスマート引っ越しと無線引っ越しのどちらにも対応していない場合はもちろん、1から手動設定をしたい場合も新規セットアップを行うことになる。
工場出荷時の本体設定は、背面のカードホルダーに収められた「セットアップカード」に記載されている。2.4GHz帯、5GHz、6GHz帯にはそれぞれ別のSSIDが割り振られており、2.4GHz帯と5GHz帯については「WPA2対応」と「WPA3対応」でさらに細分化されるため、初期状態では5つのSSIDが見えることになる。
ユーザーによっては、WPA2よりもさらに古い「WEP(Wired Equivalent Privacy)」による暗号化にのみ対応する古いクライアント機器がいまだに現役ということもあると思う。そのような機器を使うことを想定して、本機では2.4GHz帯と5GHz帯においてWEP専用SSIDも用意可能だ。
WEP専用SSIDは、64bitまたは128bitのWEPで暗号化可能で、出荷時は無効とされている。古いクライアント機器の救済のためと割り切り、使う時だけ「ネットワーク隔離」と合わせて有効化するようにしたい。
本機は、異なる周波数帯を同じSSIDで運用する「バンドステアリング」にも対応している。この機能は、クライアント機器が対応する周波数帯を意識せずに、とにかく同じSSIDとパスワードでつなげるというメリットがある。
ただ、無線に詳しい人なら「これだとつながりやすい(≒低い)周波数帯に接続が集中してしまうのでは?」とか、「より高速な5GHz帯や6GHz帯に対応しているのに、なかなかつながらないのでは?」といった疑問もあるだろう。
その点、本機のバンドステアリングは、本機側でクライアント機器の接続をある程度制御できる。制御ポリシーは以下の選択肢が用意されており、設定画面から変更可能だ。
「6GHz帯に対応しない機器が多い」「環境的に2.4GHz帯の方がスループットが良い」といった各々の状況に応じて設定すればよいだろう。
なお、バンドステアリングが有効な場合でも、期待通りの周波数帯に誘導されないクライアント機器もある。この現象は、基本的にクライアント機器側の仕様によるもので、本機に起因するものではない。
セットアップが終わったら、WXR-11000XE12のパフォーマンスを確かめよう。
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