本来、2.4GHz帯は障害物の影響を一番受けにくい帯域である。にも関わらず5GHz帯や6GHz帯よりも有意に低速である。
本機の2.4GHz帯は標準で「20MHz幅」となっているので、2倍の「40MHz幅」に変えてみたのだが、結果に大差はなかった。このことから、2.4GHz帯は帯域の混雑と帯域幅の狭さが明らかなボトルネックになっていることが推察される。
テスト環境では、どの条件でもスポット5のキッチンにおける通信速度がワーストを記録した。絶対的な距離はスポット6(リビングの端部)よりも近いのだが、少し入り組んだ壁があるために電波が届きにくかったようだ。
そこを除いたリビングの3カ所は、直線距離に比例して速度が低下している。また、ドアを閉めたときの影響は6GHz帯の方が大きい。ドアを2枚挟むと、5GHz帯よりも速度が落ちている。
6GHz帯は電波の干渉は受けにくいが、障害物の影響はより受けやすいということがよく分かる。
テスト結果からも分かる通り、WXR-11000XE12はフラグシップモデルに相応しい機能や性能を備えている。Wi-Fi 6Eに対応したことで、4803Mbpsの通信に対応する帯域がもう1本追加されたことは、快適性を向上する意味で非常に大きい。スペックを考えると、5万円を切る価格で手に入ることは驚きでもある。
既存の5GHz帯とは異なり、6GHz帯には足を引っ張る電波が存在しない。ゆえに、6GHz帯を積極的に使えば、安定して高速な通信を期待できる。今回は詳しく取り上げなかったが、本機は「Wi-Fi EasyMesh」にも対応している。規格外ゆえに手動設定が必要となるが、6GHz帯をバックホールとしてメッシュWi-Fiを構築すれば、6GHz帯に対応するクライアント機器がない環境でもその恩恵に与ることができる。
「同じ部屋で有線以上の速度を出したい」「今の2.4GHz帯/5GHz帯の環境をアップグレードしつつ、6GHz帯クライアント機器の増加に備えたい」「既存のルーターと組み合わせてメッシュを構築したい」といったあらゆるニーズに応えられる本機だが、無線LANルーターとしては高価な部類に入ることは間違いない。サイズも価格も“フラグシップ”なのだ。
スペックを考えれば、特に4万円を切る価格で買える場合は間違いなく“お買い得”である。購入を検討する際は、自分が求めている機能と性能向上が価格に見合うのかをよく検討してみてほしい。
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