ここからは、ベンチマークテストでTENKU MOBILE S10の性能を確認していこう。
本機が搭載する「Intel N100」は、エントリークラスのノートPCなどで採用されている4コア4スレッドの廉価ノートPC向けのCPUだ。第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)における高効率コア(Eコア)のみで構成されており、製造プロセスは「Intel 7」となる。Eコアだけとはいえ、「Celeron N5100」や「Pentiumu Silver N6000」といったJasper Lake(開発コード名)世代のCPUと比べると性能は高い。
本機は16GBのLPDDR5メモリを備えている。Intel N100搭載のPCでは、メモリの容量が4GB〜8GB程度であることも多いが、本機については普段使いに十分な容量を確保している。
まず、3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスをチェックできる「CINEBENCH R23」の結果だが、マルチコアで2683ポイント、シングルコアで884ポイントという結果だった。
参考に、筆者の手元にあるCeleron N5100搭載の初代「CHUWI MiniBook X」(10.8型)のスコアを見てみると、マルチコアで1479ポイント、シングルコアで551ポイントだった。CPUのパフォーマンスはおよそ1.5倍向上している。
続いて、PCMark 10の標準テストを一通り実行した。スコアは以下の通りだ。
開発元のULによると、個別テストの推奨スコア(快適に使える目安)は以下の通りとなっている。
そう考えると、Webブラウジングやビデオ会議は問題なくこなせて、オフィスアプリはギリギリ使えるが、写真編集や動画編集などは厳しいという感じだろう。
せっかくタブレットモードがあるので「スタイラスペンを使ってイラスト作成や画像編集を……」とも思うのだが、残念ながらその用途での使用は難しい(そもそもスタイラスは付属していない)。
3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」の主要なテストも実行してみた。スコアこそ初代CHUWI MiniBook Xを上回っているものの、ゲームを快適に楽しむまでのスペックは備えていない。
試しに「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク(FF15ベンチマーク)」を実施したところ、軽量品質/1280×720ピクセル/フルスクリーン設定でも1319ポイントで「動作困難」となった。
ただ、負荷の軽い「ドラゴンクエストXベンチマーク」を試したところ、低品質/1280×720ピクセル/フルスクリーン設定であれば、4575ポイントで「普通」という評価を得られた。
本機でゲームを楽しもうと考える人はあまりいないだろうが、軽量級のタイトルであれば何とか遊べるかもしれない。
ストレージはPCI Express 3.0 x4接続の1TB SSDで、容量は大きめだ。試用機では「AirDisk 1TB SSD」というものが搭載されていた。あまり聞かないメーカーだが、軽く調べたところ、中国メーカーのミニPCなどでよく採用されているようだ。
「CrystalDiskMark 8.0.5」でアクセス速度を調べてみたところ、シーケンシャル読み出しが毎秒3450MB、シーケンシャル書き込みが毎秒3107MBだった。PCI Express 3.0 x4の理論最高速度(毎秒3500MB)近いスピードが出ている。
レビューは以上となるが、最後にどうしても言っておきたいことがある。
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