さて、では「人に使ってもらう」ためにはどうしたらよいか。実はVision Pro自体に「ゲストモード」という、所有者以外に使ってもらうためのモードが用意されています。
iPhoneなどと同様に、Vision Proは自身のApple IDにひも付いたパーソナルな機器です。メールアプリといった個人情報たっぷりのアプリも使えるため、プライバシーの観点からもうかつに貸せません。Apple IDを変更するのであれば、本体を初期化して渡す必要があり、現実的ではないでしょう。
ゲストモードを使えば、制約をつけた状態で試用してもらえます。
そんなゲストモードですが、それでもさっと貸せるわけではありません。目線やハンドジェスチャーで操作するという特性から、ゲストが利用するたびに多少のセッティングが必要になります。
操作説明やアプリの体験を考えると、1人あたり30分くらいは時間を確保した方がよいでしょう。打ち合わせの後、「30分くらいお時間ありますか?」といったところでしょうか。
なお、ゲストモードで渡す際に「開いているアプリのみ」「すべてのアプリとデータ」のどちらかを選択することができます。使い始めるとパーソナルな情報も多くなるでしょうから、基本的には起動中のアプリのみを選択することになるでしょう。
「ゲストモードにして渡すだけ」だと、難しい問題があります。それは、Vision Proは装着している人しかその画面が見えないため、操作のフォローなどが非常に困難だということです。
しかし、この点もよく考えてあります。AirPlayを使って、Vision Proの画面を他デバイスで表示できるのです。そして、これはiPadを使うこともできます。個人的にはMacの画面に表示するより、iPadの方がビュワーとしては扱いやすいな、との印象です。
Vision Pro側から送信操作をしますが、その前に、iPad側で受信できる設定が必要です。「iPadの設定>一般>AirPlay&Handoff」で、AirPlayレシーバーの設定をオンにしておきましょう。
また、Wi-Fi環境が必要となるので、環境がない場合はiPhoneのテザリングでVision ProとiPadをぶら下げましょう。
その他、気にしておいた方がよい点です。
完璧なフィッティングが求められるのがVRゴーグルです。Vision Proはアイトラッキングを活用した操作となるため、より、繊細なセッティングが必要になります。本体と顔を設置する部分(ライトシーリング)の形状はかなりの種類があるらしく、自分のものがそのままフィッティングする可能性は低いかもしれません。
また、ライトシーリングの接点となるライトシーリングクッションも幅のバリエーションがあるようです。Vision Pro購入前に、FaceID機能を活用して顔の形をスキャンしますが、このサイズを選定しています。Appleのフィッティングへのこだわりが感じられます。
ゲストとしては物理的にどうしようもないため、自分のVision Proであればもっとフィットして使えるよ、ということはお伝えしておきましょう。よりよいフィッティングを試したい時は、素直にApple Storeに行きましょう。
そして、メガネやハードコンタクトは利用不可です。視力が悪い場合、ソフトコンタクトは必須となります。多少の近視くらいであれば取りあえずはそのまま使えると思いますが、ベストではない点、注意しましょう。購入者自身は、メガネ相当のオプティカルインサートを作成できますので、その場合はソフトコンタクトも不要です。
また、顔を密着して使う道具です。そうした事が気になる方、お化粧されている方などに向けて、消毒品やケアグッズなどは準備しておいた方がよいかもしれません。
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