続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14旧ベンチマーク)」を試してみる。
本来であれば、最新バージョンの「ファイナルファンタジーXIV: 黄昏のレガシー ベンチマーク(FF14新ベンチマーク)」を実施したかったのだが、比較用のCore i9-13900K環境においてテストした時点では同ベンチマークはリリース前だった。そのため、今回はあえて旧バージョンでのテストを実施して比較する。
画質設定は「最高品質」として、フルHD(1920×1080ピクセル)/WQHD(2560×1440ピクセル)/4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った。結果は以下の通りだ。
FF14旧ベンチマークの動作要件を見てみると、推奨GPUが「GeForce GTX 970」など、およそ8年ほど前のハイスペックPCを基準としている。そのため、現代のPCにとっては「軽いゲーム(ベンチマーク)」に分類されるため、ご覧の通りどのCPUも、全ての解像度で良好なスコアを残し、差も大きくない。
このことは「古いゲームタイトルを遊ぶなら、CPUは必ずしもハイエンドである必要はない」ということ……なのだが、ちょっと見方を変えると「Ryzen 9000Xシリーズの下位製品は、古いゲームタイトルならハイエンドCPUと同じパフォーマンスを発揮できる」ともいえる。
では、負荷のやや重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」では、スコアに差が付くのだろうか。今回は画質を「高品質」として、FF14旧ベンチマークと同じ3つの解像度でテストを行った。結果は以下の通りだ。
こちらも僅差といえば僅差だ。というのも、ある程度の負荷のゲームまでは、基本的に一定以上のCPU性能があれば、ボトルネックになるのはGPUのみだからだ。
CPUもGPUもゴリゴリ使うような“超”高負荷なゲーム(後述)をたくさん遊ばないのであれば、CPUをRyzen 5 9600XかRyzen 7 9700Xあたりにして予算を抑えて、グラフィックスカードに厚めの予算を回す――そんなマシンの組み方も“アリ”だと思う。
CPUだけでなく、GPUにも大きな負荷を掛ける場合、Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xは健闘を続けられるのだろうか。「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマードコア6)」「Cyberpunk 2077」「Microsoft Flight Simulator」の3タイトルで、平均フレームレートをチェックしてみよう。
アーマードコア6では、フルHD/WQHD/4Kの3解像度で画質設定「最高」にしてテストを行った。表示モードは「フルスクリーン」、上限フレームレートは「120(fps)」として、ゲーム前半の関門ステージ「ウォッチポイント襲撃」をプレイした際の2分間の平均フレームレートを「CapFrameX」で計測している。
結果は以下の通りだ。
アーマードコア6は、グラフィックスの密度の割に、負荷はそれほど重たくない。今回のテスト環境であれば、どの組み合わせであってもフレームレートはほぼ上限に張り付き、非常に快適に遊ぶことができた。
「テスト環境のグラフィックスカードが(CPUに対して)強すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれないが、Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xなら高性能GPUの足を引っ張ることはないともいえる。
現行のPCゲームの中でも、上位を争う高負荷タイトルであるCyberpunk 2077では、ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を使って平均フレームレートのチェックを行った。
ゲーム設定はプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」を選択し、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でテストした。DLSS(超解像技術)も有効にし「クオリティ・フレーム生成あり」をオンにしている。結果は以下の通りだ。
Core i9-13900Kにおける過去のテストと比べると、Ryzen 9000シリーズを使ったテストでは高解像度における平均フレームレートが高い。もちろん、グラフィックスドライバーの改善(最適化の進行)が原因ということも考えられるが、それにしてもすごいことだと思う。
繰り返しだが、重量級タイトルでもCPUがボトルネックに“ならない”ことは見逃せない。
Microsoft Flight Simulatorも、重量級タイトルとして定番だ。高精細なグラフィックで描かれる風景なさながら実写を見ているかのような再現度なのだが、読み込まれるデータ量が多いことからGPUだけでなく、CPUにもかなりの負荷がかかる。
今回はDLSSをオンにしてフレーム生成も有効とし、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度においてディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦し、CapFrameXで2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。
こちらも、Ryzen 9000シリーズが10%ほど劣る結果になった4K解像度を除き、Core i9-13900Kと比べ極端に遅いという結果にはなっていない。よほどのことがない限り、肉眼では認識できない差だ。テスト中に画面を見ている限り極端に動作が重たくなるといったこともなかった。
ここまで見てきて、ゲーム用途ではかなり優秀であることが分かったRyzen 9000Xシリーズだが、それ以外の用途でも優秀なのだろうか。
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