ベンチマークテストの結果を確認してみよう。比較対象として同じSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載した「Vivobook S 15 S5507QA」も含めているが、このHP OmniBook X AI PCは、Core Ultra 9 185Hをしのぐようなスコアを出していたVivobook S 15 S5507QAと比べると、控え目なパフォーマンスとなっている。一方でバッテリー駆動時間はVivobook S 15 S5507QA以上に長く、静音性も非常に高い。
Snapdragon X Eliteは、さまざまなフォームファクターのPCに対応できる可変TDP(Thermal Design Power)を備えた製品で、フォームファクターやPCの熱設計によってパフォーマンスが異なる性質を持つ。このHP OmniBook X AI PCでは、静音性や長時間駆動を優先し、ターゲットTDPを抑えた設定を採用していることが伺える。
バッテリー駆動時間については、画面の違いも大きいだろう。Vivobook S 15が15.6型で最大600ニトの3K有機ELディスプレイを搭載しているのに対し、HP OmniBook X AI PCは14型で最大300ニトの2.2K液晶ディスプレイを搭載しているため、バッテリー駆動時間では有利だ。
TDPを抑えているといっても、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)のパフォーマンスは高く、CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のCPUスコアでは、6コア12スレッドのCore i5搭載機のスコア(478)はもちろん、M3チップを搭載した「MacBook Air」のスコア(641)も上回っており、アプリの互換性問題さえクリアすれば、クリエイティブ用途を含めさまざまなシーンで活用できるパフォーマンスはしっかり備えている。
15型で約1.42kgのVivobook S 15 S5507QAよりも一回りコンパクトで軽量な14型で約1.34kgの薄型機として、HP OmniBook X AI PCは良いバランスにまとまっているといえる。
HP OmniBook X AI PCについて詳しく見てきた。同じSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載したCopilot+ PCでも、先にレビューしたASUS JAPANのVivobook S 15 S5507QAとは少し違う性格の製品に仕上がっている。
少しゆとりのあるフォームファクターを採用し、設定次第でハイパフォーマンス運用にも静音運用にも切り替えられる万能的なスタンダードPCのVivobook S 15に対し、このHP OmniBook X AI PCは、よりコンパクトで可搬性を重視したフォームファクターで、快適なパフォーマンスを確保しつつ、静音かつ長時間駆動ができる製品に仕上がっている。ボディーカラーにセラミックホワイトを採用した外観も個性的で、大きな魅力だ。
前述した通り、直販価格は標準で24万9700円だが、現在はキャンペーン価格として22万4730円で販売されている。新しいAI体験ができるCopilot+ PCとして、有力な選択肢の1つだろう。
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