「Snapdragon X Elite」って結局どうなのよ? ASUS JAPANの「Vivobook S 15」(S5507QA)を試して分かったこと(1/6 ページ)

» 2024年08月15日 12時00分 公開
[マルオマサトITmedia]
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 ASUS JAPANから登場した15.6型のノートPC「Vivobook S 15」(S5507QA)は、6月18日に一斉に発売になった世界初の「Copilot+ PC」のうちの1つだ。

 スリムなボディーにQualcommのSoC「Snapdragon X Elite」を搭載しており、Windows 11に加わった新しいローカルAIアプリケーションを活用できる。このSnapdragon X Eliteというプロセッサは、従来のSnapdragonとは全く異なる性格のプロセッサであり、従来のPC向けSnapdragonシリーズのイメージを引きずっていると、本製品を含めたCopilot+ PCの本質は見えてこない。

 例えば、過去に筆者がレビューした日本HPの「HP Elite Folio」は、電力効率の高さや発熱の低さなど見るべきところはあったが、パフォーマンスとなるとArmネイティブ対応のテストですら、当時から3年も前に発売されたCore i5-8350U搭載のノートPCよりも劣っていた。

 今回はSnapdragon X Eliteに関する知識を整理するとともに、Vivobook S 15 S5507QAについて、より踏み込んだパフォーマンスや使い勝手の検証をしていきたい。

ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC ASUS JAPANから登場した「Vivobook S 15」(S5507QA)は、世界初となるCopilot+ PCの1つだ。SoCとしてQualcommの「Snapdragon X Elite」(X1E-78-100)を搭載している
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC 筆者がレビューしたSnapdragon搭載PCは、Copilot+ PCより前では2022年1月に掲載されている日本HPの「HP Elite Folio」が最後だったが、Vivobook S 15 S5507QAはそのイメージとは全く異なる製品だ

Snapdragonなのに15型で1.42kg!? フォームファクターに感じた違和感

 本機は15.6型画面を搭載した約1.42kgの大画面薄型ノートPCで、システムの中核をなすSoC(System On Chip)として、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載している。

 実を言うと、筆者は最初にこのPCのフォームファクターとハードウェアスペックを聞いた時にはどうにもピンとこなかった。「Snapdragonなのに15.6型で1.42kg?」「WWAN(5GまたはLTE)ついてないの?」と思ってしまったのだ。

 というのも、Snapdragonといえばやはり「スマートフォンのCPU(SoC)」であり、「省電力で低発熱でロングバッテリーという印象がある。そして、WWAN機能をスマートに統合できる一方、パフォーマンスはいまひとつ」というイメージが強い。

 その先入観に囚われ、Copilot+ PCをいち早く試せることに心を躍らされつつも、ハードウェア自体についてはそこはかとない違和感を覚えていた。同じように思った読者も少なくはないのではないだろうか。まずはこの認識の違いを改めるため、Snapdragon X EliteというSoCの知識を整理しておきたい。

 ちなみに、SoCというのはSystem On Chipの略であり、CPUコアやGPUコア、メモリコントローラやインタフェースコントローラー、さらにカメラ用のイメージプロセッサやオーディオDSPなど、コンピュータシステムを構成する主要な機能を1チップに高度に統合したチップのことを指すが、カッチリした定義や規則があるわけではない。

 既にIntelやAMDのモバイル向けCPUもずいぶん前から多くの機能を統合しており、実際に文脈によってはSoCと呼ばれることもある一方、PCでは中核であるCPUと呼ぶのが一般的だ(AMD製品の一部をAPUと呼ぶ人もいるが)。スマートフォンではSoCという名称が浸透しており、QualcommもSoCと呼んでいるので、それにならっている格好だ。

ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC Vivobook S 15(S5507QA)は、15.6型画面を搭載した約1.42kgの大画面薄型ノートPCだ。SoCにSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を採用し、メモリはLPDDR5X-8448規格を32GB備える。ストレージは、PCI Express 4.0 x4対応のSSDを1TB備えている
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC スリムなメタルボディーでデザインはシンプルだ。同社の製品としては地味な印象はあるが、表面仕上げのクオリティーは良好だ
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC テンキー付のキーボードを搭載する。実測のキーピッチは幅が約19mm、縦方向が約18mmだった。1ゾーンのRGB LEDキーボードバックライトを装備している
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC 底面。ボディーサイズは、約352.6(幅)×226.9(奥行き)×14.7〜15.9(高さ)mmだ
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC 左側面。2基のUSB Type-C端子はUSB4対応で、USB PD(Power Delivery)によるPCの充電、画面出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応する
ASUS JAPAN Vivobook S 15 S5507QA 15.6型 Copilot+ PC Snapdragon X Elite AI PC 右側面にはUSB Standard-A(USB 3.2 Gen 1対応)を2基装備する
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