筆者はSoCに「Snapdragon X」シリーズを搭載した「Surface Laptop(第7世代)」を発売日に購入し、使い始めてから1カ月以上が経過した。スペックの話などはこれまでに紹介してきたが、読者の皆さんは「Arm版Windows 11は果たして使い物になるのか?」と疑問に思っているのではないだろうか。
そこで、今もSurface Laptop(第7世代)をメインのモバイルPCとして利用している筆者の経験を基に、その疑問に答えていこう。
実際にアプリの動作を確認する前に、Arm版Windows 11のx64エミュレーション機能(バイナリ変換)について軽くおさらいしよう。本来、OSがArmアーキテクチャで動作している場合、IntelやAMDなどのx86/64アーキテクチャ向けに開発されたアプリは実行できない。このままではArm版のOSを使っているユーザーの利便性が著しく低下してしまうことだろう。
そんな状況ではいつまでたっても使う人は増えないだろう。そこでArm版Windows 11には、従来のアプリケーションをエミュレーションして動作させる機能が用意されている。これはApple Siliconを搭載したMacで利用できる「Rosetta 2」と同じ仕組みだ。
実は従来のArm版Windows 10まではx86アプリのエミュレーションをサポートしていたにもかかわらず、x64アプリは実行できなかった。しかし、Arm版Windows 11では新たにx64アプリの実行もサポートされるようになり、従来のソフトウェア資産を有効活用できる基盤が整った。
ただ、純粋なArmアプリと比べると、x86/x64アプリを実行する際はバイナリ変換を挟むため、どうしてもオーバーヘッドが発生してしまう。
オーバーヘッドが発生してしまうとはいえ、x86/64アーキテクチャからArmアーキテクチャへの移行を緩やかに実施できるため、ユーザーに取ってもサードパーティーアプリ開発者にとってもありがたい話だ。
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