プロナビ

Arm版の「Copilot+ PC」で既存アプリは快適に動作する? 新型「Surface Laptop」で試してみた(2/3 ページ)

» 2024年08月06日 12時00分 公開
[Yukito KATOITmedia]

筆者が普段利用しているアプリは快適に動くのか?

 x86/64アプリの動作もエミュレーションで対応可能であることは分かったが、実際に筆者が普段利用しているアプリが正常に動くのか、詳しくチェックしていこう。

Google ChromeはArmネイティブ対応

photo Google Chromeは正式にArm版Windowsに対応しているため、インストーラーのダウンロードも通常通りの方法で行える

 まずは、メインで使っているWebブラウザのGoogle Chromeだ。Windows開発キット2023が発売された当初は、Arm対応はしていなかったのだが、2024年の初頭にリリースされたCanaryビルド(試験運用版)のVer.123.0.6288.0にて、Arm版Windowsに対応した。しばらくテストが行われた後、2024年3月末に正式対応となった。

 ChromiumベースのMicrosoft Edgeは、Windows開発キット2023が発売された時点で既にArmネイティブ完了していたが、個人的には普段から利用しているGoogle Chromeをネイティブアプリとして利用したかっただけに、このニュースは非常にうれしい出来事だった。さらにこれなら「メインのノートPCをArmアーキテクチャのPCにしてもいいな」と考えたきっかけでもあった。

 過去にWindows開発キット2023のレビューを行った際にも触れたが、ネイティブ版と比べてx86/64エミュレーションではオーバーヘッドが発生する分、パフォーマンスも落ちることに触れたが、それだけでなく余計な処理を挟まなくなるため、バッテリーの持ちにも大きく影響してくる。

 PCを利用する時間の中で大多数の利用時間を誇るWebブラウザがArmネイティブ対応することは、ArmアーキテクチャのPCを選定する上で非常に大きな追い風となる。

 ただ1点注意すべき点がある。Surface Laptop(第7世代)の購入当初、wingetコマンドでGoogle Chromeをインストールした際は、Arm版ではなくx86版がインストールされた。ある程度、Windowsに精通した方ほど、Arm版ではなく実はx86版を使っていた、なんて可能性があるので注意してほしい。

 余談ではあるが、筆者も引っ掛かった1人でもある。これは裏を返せば普段利用では、アプリがx86/64エミュレーションで動いている事に気付きにくい、ということを経験できた。

Visual Studio Codeもネイティブ対応

 続いてはMicrosoft社がリリースしているVisual Studio Codeだ。テキストエディタにとどまらず、豊富な拡張機能や内包されたターミナルのおかげで、今ではGoogle Chromeに次いで必須アプリとなった。

photo Visual Studio CodeもArm版Windowsに対応している。

 こちらはMicrosoft製アプリということもあり、Microsoft Edgeと同じくWindows開発キット2023が発売された頃には既にネイティブ対応が完了していた。デフォルトのままではそこまでCPUリソースを利用しないが、拡張機能を複数組み合わせて利用することを考えると、早期からArmネイティブ対応が完了しているのは非常にありがたい。

WSL2もArmネイティブ対応 独自でアプリを動かす場合は注意が必要な場合も

 続いてはWSL2を見てみよう。筆者は普段、Linuxを利用する際はDebian GNU/Linuxを愛用しているため、WSL2でもUbuntuではなくDebian GNU/Linuxを導入している。

photo neofetchの実行画面にaarch64(Arm64)の表記から、Armアーキテクチャで動作していることが確認できる

 こちらも特に普段と変わらない方法でWSL2を有効化し、Microsoftストア経由でインストールしたのだが、しっかりArmネイティブ対応だと確認できる。

 1つ注意点を挙げるとすると、neofetchの実行結果からも分かる通り、Arm64版のDebian GNU/Linuxが動作しているので、WSL2向けに何か導入する手順を解説した書籍や、Webサイトの情報をそのままコピペして利用すると、x86_64向けにビルドした実行ファイルをダウンロードしてしまい、結果として動かないなんてこともある。

 基本的にはソースコードをダウンロードして、ビルドするかaptなどのパッケージ管理ツールを使うので、そこまで気にする物でも無いが、念のために覚えておきたい。

Docker for DesktopもArmネイティブ対応しているが、インストールには注意が必要

 Docker for Desktopについても。Microsoft Build 2024にてArmネイティブ対応が発表され、Ver.4.30からArmネイティブ対応しているのだが、執筆段階では少し注意が必要だ。

photo 通常通りインストーラをダウンロードすると、x64版がダウンロードされてしまうため、WSL2 integrationの導入に失敗してしまう

 Docker for Desktopを公式サイトからダウンロードしてインストールしたのだが、Unexpected WSL errorが発生してしまう。詳しく確認してみると、Docker for Desktopがx64エミュレーションで動作しており、Arm版WSLにうまく対応できていないことが分かった。

photo Arm版のインストーラをダウンロードすれば、β版ではあるがWSL2 integrationの導入も正常に動作する

 それもそのはずで、Arm版のDocker for Desktopはまだβリリースにあり、ダウンロードページからはダウンロードできない。

 Arm版のインストーラをダウンロードするには、Docker for Desktopのリリースノートのページから、「Windows Arm Beta」をクリックする必要があるので、もしDocker for Desktopを利用する場合は注意されたい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー