2020年発売のQuest 2と同等の表示系を採用しているあたりは気になります。2024年の価値基準で見たときの映像クオリティーはいかがなものでしょうか。
体験会の会場では他モデルとの比較ができなかったために、あくまで筆者の記憶と照らし合わせての主観となりますが、悪くはありません。
確かにパンケーキレンズを使っているQuest 3との差はあります。周辺視野はにじんで見えるところがあるし、強い光が見えるシーンではやや飽和してコントラストが低下します。でもQuest 2の表示系はゴッドレイが起きにくいし、スクリーンドアも感じにくい。安価なレンズを使ってはいるけれども、映像の見え方そのものは、SNSなどで指摘されているほど悪くないんですよね。
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特にVRゲームで遊んだり、映画やアニメを見ているときは何ら問題がありません。低価格機で得られる視界としては十分なクオリティーです。
注意するべきは小さい文字を読まねばならないシーンです。体験会のデモでブラウザ画面を見るシーンがありましたが、URLなどの文字を読むとなると、クリアな視界のMeta Quest 3の方が明らかに勝っています。
VR/MRヘッドセットメーカーは今、空間コンピューティングデバイスとしての使い方をアピールしています。Metaも同様で、Quest 3Sもビジネス用途のユースケースがあると伝えています。でも個人的な印象としては、マルチウィンドウ/マルチタスクな使い方をするなら、パンケーキレンズを使ったMeta Quest 3を選んだ方が良いな、と感じますね。
Meta Quest 3Sはカラーパススルーを可能にする眼を手に入れました。フロントカメラで捉えた現実世界を、デジタル情報と共にカメラ越しに表示する機能です。
Quest 2のパススルーはモノクロでダイナミックレンジが低く、積極的に使いたいと思えるものではなかったのですが、Meta Quest 3SのビデオパススルーのクオリティーはMeta Quest 3級です。深度センサーは不採用となったため、近くのものを見たときの補正力に差が出るかもしれませんが、実際に使ってみると十分納得がいくものです。
ビデオパススルーFPSシューティングゲーム「SPATIAL」のプレイシーンをご覧ください。Quest 3Sを被っている記者たちが一体何をやっているのか分からないと思うのですが、プレーヤーの視界には銃やバズーカを持つ敵プレーヤーと、身体を隠す壁が映っています。
勢いよく首を振ってもパススルーの映像とデジタル情報が自分の眼に吸い付くように追従しているので、酔いにくいというメリットもあります。視界が切り替わりがちなVRゲームよりも、VR/MRヘッドセットに慣れるためのトレーニング用としても活用できそうじゃないですか。
なお、Metaの説明ではQuest 3を発売してから製品の実利用時間が伸びているとのこと。ユーザーはQuest 3によって良質なカラーのパススルーを利用できるようになったことで、MRゲームやアプリの利用者が増えていると判断しているそうですよ。
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