実際に使っていると、やはり配置の自由度が本機の強みだと感じました。例えば、次の写真ように配置すれば、右手で調節機能を呼び出すと同時に左手でダイヤルに手を添えて、タイムラグなく操作できます。
この配置がベストかどうかはともかく、好みや自分の操作スタイルに柔軟に対応できるのも本機の魅力でしょう。また、ディスプレイ付きのキーは「押せるチートシート」のようです。複数のアプリを使ったり、毎日長時間使うわけでもないアプリを使う機会が多い用途では、主だった機能を時間をかけずに操作したり、覚える時間を削減するのに役立ちます。
一方で、自分にとってのイラスト制作のような、1つのアプリで長時間描き続ける、使うキーの偏りが大きいような用途に限っては、利点はあまり感じられませんでした。どちらかというと通常のキーボードやTourBoxのような、常に手を添えて使うように作られたデバイスで最適化した方が良いと思います。
また、イラスト用途では、ペンタブレットを買えばショートカットやマクロ機能も手に入り、ダイヤル的な操作は装飾キーやペンを使ったショートカットの方が優れている場合が多いという事情もあります。
それではまとめていきましょう。MX クリエイティブ コンソールは、ディスプレイ付き左手デバイスとしては後発製品であるものの、ダイヤルデバイスとキーデバイスを分割することによって、圧迫感のないデザインや、配置の自由度から来る使い勝手などの美点を獲得しました。
現状ではAdobeのツールや配信ツール、ビデオ会議ツールなどで主に公式プラグインが提供されており、それらではアプリとの深い連携によって便利に利用することができます。複数のアプリを駆使して制作していくクリエイターや、日々の業務の質や効率を改善したい人、手元が忙しくなりがちなワンオペ配信などで特に利点が発揮されるでしょう。
一方で、イラスト製作のような、1つのアプリをひたすら長時間利用したり、頻繁に操作するキーが極端に偏っているような用途では、必ずしも相性が良いとは言い難いです。その場合は常に手を添えて使うタイプの左手デバイスを優先して検討したり、他に使いたい用途も加味しながら本機を検討するとよいでしょう。
また、本機が真価を発揮するためには、アプリとの高度な連携やカスタマイズの起点となるプリセットが必要ですが、現状ではそれほど多彩なアプリに対応しているわけではありません。対応していなくてもキーボードショートカットやキーマクロを割り当てて使うことはできますが、お目当てのアプリがある場合は、対応しているか確認しながら検討してもよいでしょう。
ところで、こういう意識高い系デバイスでは忘れがちですが、ワイヤレスでコンパクトなダイヤルパッドは、リラックスしてコンテンツ消費を楽しむのにも便利です。
YouTubeやアニメを見るときに椅子にもたれてリモコン代わりにしたり、ふんぞりかえってマンガを読みながらページめくりに使ったり──「生産性デバイスでそういうことするの!?」と言われそうですが、ガジェットを買ったらたくさん使うのが一番です。臆せず使って使用頻度を上げていきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.