―― 2023年から西和彦氏と組んで、次世代MSXプロジェクトの1つであるMSX0のハードウェアを開発していますが、次世代MSXプロジェクトに対する感想はいかがですか。
ジミー 中国ではMSX自体がほとんど知られておらず、私も同様でした。ですから、M5Stackの世界とは全く別のMSXの世界があって、最初はどんな世界になるの戸惑いがありましたが、MSX0を「M5Stack Core2」と「Faces」を使って実現できたので、そういう世界もあるんだなと驚きました。
まだ西さんの考え方を全部理解してるわけではありませんが、今日対面のミーティングをさせてもらって、その考え方を一部理解できました。要望を100%受け入れられるわけではありませんが、今後もできるだけ協力して、可能な部分は開発を続けたいと思っています。
―― M5Stackの製品を使っている日本のユーザーについては、どのように考えていますか?
ジミー 毎年1回、日本のM5Stackユーザーが作った作品を募集して、私が評価/選考する「M5Stack Japan Creativity ContestM5Stack Japan Creativity Contest」というのがあり、毎年すごい勢いで参加作品が増えています。2024年は237作品まで増えました。
ヨーロッパやアメリカ、中国とも違って、日本にはそういうチャレンジをする、かつエンジニアリングのバックグラウンドを持っている人がたくさんいて実際に手を動かし、作品を作って発表される人がたくさんいます。それをお互いにけなしたりせず、称え合ったり共有したりして、相互で助け合うという動きは、とてもうれしいことです。
中国でもなかなかそういうのがないので、日本のユーザーはM5Stackにとってはとてもいい影響を与えてくれています。製品開発にアイデアを一部取り入れることもあります。M5Stackとしては、日本市場と日本のユーザーは非常にうれしい存在ですし、今後も一緒にやっていきたいと考えています。
―― Tab5についてですが、キーボードはオプションとして、タブレット部分の本体のみで発売されるのでしょうか。
ジミー Tab5は標準モデルではタブレット部分のみで、キーボードはオプションとして販売する予定です。
―― 標準モデルに関しては、2024年中に出てくるイメージですか?
ジミー 今回、日本に来る直前にようやくソフトウェアが動き出して、カメラも動き出しました。ボディーもまだプラスチックの成形品ではなくて、3Dプリンタで作っています。
日本のお客さまとMSX側に、このような仕様でどうでしょうかという、仕様の最終確認を行うのが今回の目的です。それで日本のお客さまと西さん、それらを当社で調整できれば、プラスチックの金型の製作に入ります。
プラスチックの金型を作るには、ある程度の費用と2カ月くらいの時間がかかります。また、こういった通信機能を搭載した商品は、無線の認証にも1カ月や2カ月くらいかかってしまうので、2025年になんとか出したいなと思っています。1つの目標として、ドイツで毎年開催されている「エンベデッドワールド」で、ヨーロッパのお客さまに、Tab5の完成品を見せたいというのがあります。
―― エンベデッドワールドはいつ開催されるのですか?
高須 2025年の3月11日〜13日ですね。M5Stackの場合、製造数量が多い製品だと、大体2カ月前ぐらいから部品手配とかを始め、生産準備が完了してから2カ月半後ないし3カ月後に発売というのが一般的です。
今、M5Stackで毎週新製品を出しているので製造ラインが大体埋まっていて、待機している製品がいっぱいあるんですよ。それらの製品を入れ替えることで発売日が変わってくるため、現状だと正直いつ出るかはよく分からないのが現状です。
いつ出るかはハッキリとしませんが、大きな問題は見つかってないのでエンベデッドワールド前には出そうと思えば出せるし、出す気ではいます。ただし、他の製品が非常に売れたり、他の製品で解決すべき問題がたくさん出てきたりすると遅れることはよくあります。
―― 日本のユーザーはキーボード付きTab5に期待している人多いと思います。昔、シャープやカシオ計算機がポケットコンピュータを出していました。
ジミー 本当は「M5Stack Cardputer」の大画面版ができればいいのかもしれませんが、ESP32-S3チップでは、大画面のディスプレイをサポートできません。ESP32-P4の新しいチップだと少しは大きな画面にできるため、今回はCardputerではなくてTab5の方が良さそうだというので話を進めています。
高須 Tab5みたいな全くの新製品だと発売するということは、要はプロトタイプをやめようという話でもあります。カメラはあれでいいのかなど、仕様を変えられるところがまだいっぱいあって、今回のMaker Faireで初めて動いているものを公開することになります。
もちろん早くは出したいのですが、あのような大きい製品で、簡単に仕様を変えて何かを出すということはあまり良くありません。プロトタイプの時間を、もっと長く取るということはよくあります。M5Stackは、プロトタイプの時間を長く取ることをそんなに嫌がらない会社ではあります。
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