前述したように、QooCam 3 Ultraは近い距離にある、そしてステッチ部分に重なる被写体を撮るのは苦手です。
ストレート型光学系を持つ360度カメラ独自の弱点をカバーするには、専用PCソフトのダイナミックステッチ機能を使います。しかし写真であればいいのですが、映像だと全フレームを的確にステッチするのが難しいようで、被写体周囲がじわじわとゆがんでいるのが分かります。
このシーンでは前レンズを海側に向けていますが、もっとも近い位置にある被写体にレンズの光軸を向けることで違和感を低減できます。
暗い場所での撮影品質もチェックしましょう。これは新宿・歌舞伎町の入口で撮影したシーンですが、点光源は周囲が飽和しているのが分かりますが、黒い空は真っ黒に染まっており、スッキリとした映像だと感じられます。なお専用PCソフトでファイルを読み込んだ段階では空一面が輝度ノイズに汚染されており、後処理による補正力が極めて高いことを実感できます。
ゴールデン街の中の路地で撮影した360度全天球映像もご確認ください。先ほどよりも低照度な場所ゆえにざわつきが残る映像になっていますが、それでも街中であれば、深夜でもきれいな映像を撮影できることに驚きます。
写真の解像感もご覧ください。フルサイズミラーレス級のダイナミックレンジはありませんが、スマホのカメラと比較するのであれば同等か、勝っているのではないかと感じます。センサーサイズに余裕があることと、HDR記録が前提となることが功を奏しているのでしょう。
「QooCam 3 Ultra」を使ってみて実感したのは、得手不得手、どちらも合わせて個性となること。苦手なシーンはあります。しかし扱い方でその苦手部分を極力感じさせない動画が作れますし、得意分野を生かせばポケットサイズの超々広角カメラとしてのポテンシャルを活用できます。
本体価格は9万6800円と、ライバルと比較するとやや高めです。しかし、高価なだけのポテンシャルは持っていると感じるのも事実です。360度カメラ欲しいと考えているならば、検討の余地は大いにアリでしょう。
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(製品協力:Kandao Technology)
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