スペースキーが分割されたキーボードは便利なのか? キー入力の癖を考察して「REALFORCE R3」セパレートモデルの設定を試行錯誤した話キーボード ナビ(4/4 ページ)

» 2024年12月26日 12時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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分割スペースキー活用のアイデア

 実はバックスペースキーを左スペースキーに割り当てることは、他社の機種や自作キーボード好きの間では比較的多く見られる活用例でもある。だが、それらのほとんどは英語配列だ。日本語配列ならではの活用方法はまだまだ手が付けられていない領域だともいえる。

 そういった観点から再度見直してみると、そもそも最下段のキーの中にはほとんど利用していないキーが他にもあることに気が付いた。筆者の場合は普段から英語配列を使っているという事情もあるのだが、変換キー、無変換キーはスペースやEnterキーで代用している。片仮名/平仮名の入力モードを切り替えることはなく、入力後にCtrl+Iなどで変換するし、ローマ字とかな入力を切り替えることもない。2つずつ用意されているAltやCtrlも右側はほぼ使っていなかった(もう1つ上の段の右Shiftもタイプ数ゼロだった)。いっそのこと、このあたりを全てまとめて再マップしてしまうのも手かもしれない。

 ここで、REALFORCEの持つ柔軟なキーマップ入れ替えについて2点、おさらいしておきたい。

 1点目がFnキーの入れ替えだ。「全てのキーマップ入れ替えが可能」といううたい文句自体は他のキーボードでも見かけるのだが、REALFORCEの場合は他のキーボードで「例外」として扱われることの多いFnキーも入れ替えが可能になっている。Fnキーの使い方自体はShiftやCtrlなどの修飾キーと同じだが、それらとは決定的な違いがある。

 例えば「@」を入力しようとしたとき、英語配列だと「2キー」と「Shiftキー」を押下する。OSはその情報を受け取り、「英語配列で、2キーとShiftキーが押下されたから、これは@だ」と変換を行う。一方、日本語配列だと「@キー」があるので1キーの押下だけで済む。

 つまり、同じ文字コードであってもキーボード配列によって入力する際に押すキーの数が違うわけだ。いくらキーマップが変更可能でも、2つのキーを同時に押されたときの処理がOS側で行われる以上、日本語配列で「@」を2キー同時押しで入力することは(本来は)できない。

 一方、Fnキーはファンクションキーとマルチメディアキーの役割を兼用させるなどの目的でノートPCなどに多く採用される特殊なキーだ。キー数が限定されるコンパクトキーボードで1つのキーにハードウェア的な複数のコードを割り当てるために設けられたもので、ShiftやCtrlとは異なり、キーボード側で同時押しの処理が行われる。

 その結果、Fnキーと他のキー、2つのキーが押されたにもかかわらず、OS側からは1つのキーが押されたように見えることになる。これが他社製キーボードでFnキーの入れ替えができないモデルが多い理由だ。本来、処理レイヤーの違うキーですら入れ替え自由というREALFORCEの柔軟性が驚異的であることがお分かりいただけるいただけるのではないだろうか。

 この仕組みを利用すれば、日本語配列の「Fnキー+2キー」を「@キー」に当てはめることも可能になる。さらに、REALFORCEの持つ「Fnキー入れ替え」機能を使ってShiftキーにFnキーを割り当てれば「Shiftキー+2キー」で「@」を入力することも可能になる。もっとも、これだけだと弊害の方が多いのでお勧めはできないが……。

 では逆に、本来2キーで入力するものを1キーに割り当てるにはどうすればよいか。これにはREALFORCEのキーマップ入れ替えにおける2点目の特徴である、ショートカットキーが活用できる。

 REALFORCE CONNECTのキーマップ入れ替え画面、機能キーの欄にはAPC(アクチュエーションポイントチェンジャー)などの機能に加え、Shortcut1〜8がある。これは修飾キーと一般キーの押し合わせを記録するもので、ショートカットを登録した上で、それをどのキーにマッピングするかを指定する。

photo APCは4段階で全キー個別に指定可能

 例えば「=」を日本語配列1キーで入力するなら、「Shift+−キー」をショートカットとして登録した後、キーに割り当てればよい。

 この2つの特徴的な機能を利用することで、修飾キーの有無に関わらない柔軟なキーマップ入れ替えが可能になる。よりFnキーを活用していくのであれば、分割スペースキーは大きさやポジションとも、その最有力候補となり得るだろう。複数のキーにFnキーを割り当てることも可能だ。

REALFORCE R3のセパレートモデルは受け入れられるのか?

 REALFORCE R3のセパレートモデル「R3HI17」は、分割スペースキーという特徴はあるが、あくまでR3シリーズのラインアップの1つだ。このモデルを使う場合、日本語配列、キー荷重45g、カラーはブラック系、大きさはフルサイズに限られる。

 さまざまなバリエーションモデルがある中で、なぜR3HA11をベースにしたのか、という点はいささか興味を引かれるところだ。臆測にはなるが、1つにはR3HA11が人気モデルの1つであることだろう。分割スペースキーが受け入れられるのかどうかを見極めるためには、それ以外の点でも受け入れられる製品でなければならない。悲しいかな、英語配列モデルではそもそものパイが小さく、評価がしづらいと思われる。

 そしてもう一点として、既存モデルとの変更点の小ささも挙げられるかもしれない。分割スペースキーのサイズはちょうどテンキーの0と同じで、実際、キーキャップを交換することもできる。R3HA11ではスペースキーの中央下にスプリング付きのスイッチ、左右2カ所のスタビライザー、あわせて3点で保持するようになっているが、R3HI17の分割スペースキーはそれぞれ1つのスイッチで保持している。

 このサイズではスタビライザーは不要なようだが、英語配列だとそうはいかない可能性もある。また、キーマップ変更での活用を考えるとキー数の少ないREALFORCE RC1の方が分割スペースキー向きのような気もするが、RC1のスペースキーは少し小さめなので、分割するには少々厳しいサイズのようにも見える。

 これらの事情を考えると、REALFORCEでの分割スペースキーが今後、バリエーションを増やしてくるのか、それともこのモデル限りの限定版で終わるのかは、R3HI17の売れ行き次第と言ったところではないだろうか。

 残念ながら筆者の偏った癖ではそれを判断することは難しいが、既存の配列に不満がある人、そのためにキーボードをカスタムしたいと考えている人にはぴったりはまる可能性を秘めている。

 逆に、そこまでの意欲がない人にとってはちょっと持て余すモデルかもしれない。とはいえ、R3HA11との価格差は、もったいないとはならないレベルに収まっている。

 興味のある方はぜひ、実機を手に取ってその可能性を追求してもらいたい。

(製品協力:東プレ

※記事初出時、一部の金額表記で誤りがありました。おわびして訂正します(2024年12月26日午後3時20分)。

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