PCケースを含めた、マシン全体のコンセプトに新たな視点を投じたのが「裏配線」というキーワードだ。4月以降、複数のマザーボードベンダーが各種ケーブル接続を基板の裏側に回せるパーツを投入している。
先陣を切ったのはMSIだ。4月下旬に自社の裏配線プロジェクト「PROJECT ZERO」に属するマザーボード2モデルと対応PCケースの販売を始めている。
続いて、ASUS JAPANは同じく自社の「Back to The Future」(BTF)の対応マザーボードとPCケース、グラフィックスカードを一気に投入し、5月の大型連休前に間に合わせた。
その後、8月に入るとギガバイトからも自社の「Stealth Design」に対応したATXマザーボード「B650E AORUS STEALTH ICE」(4万8000円前後)が売り出された他、複数のプロジェクトの裏配線に対応するPCケースも、多数のメーカーから投入されるようになっている。
また、水冷システムでも表から隠せるタイプが見られるようになった。CPUソケットのネジ穴を利用して、冷却液をマザーボードの裏側から循環させる Bitspowerのウォーターブロック「Block Summit Revo」シリーズ(Intel用/AMD用ともに5万円弱)や、天面固定に限定することでチューブ長を最小限としたLian Li Industrialの簡易水冷キット「HydroShift AIO」シリーズ(3万3000円前後〜)なども7月に販売が始まっている。
1年を通して、ケーブルやチューブを見せない仕上げを目指せる選択肢は大いに広がった。ただ、ピラーレスや木製パネルと比べると需要はニッチにとどまる様子だ。
あるショップは「裏配線はマザーボードベンダーごとに規格が異なりますし、何年先でも交換可能なパーツを入手できる保証がありません。仕上げは美しいけれど、カスタム性を犠牲にすることになるので、二の足を踏む人が多いところはありますね」と話していた。
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