Arc Ultraに限らず、Sonosの製品はワイヤレスネットワークでシステムを柔軟にアップデートできるように設計されている。Sonos Arc Ultraは単体でも優れた音場再現能力を発揮するが、「Sonos Era 100」「Sonos Era 300」といったスピーカーや、単体サブウーファー「Sonos Subシリーズ」と組み合わせて段階的にシステムを拡張できる柔軟性を備えている。
例えば、まずはArc Ultraを購入して単体で楽しみ、後に予算や環境が整ったタイミングでEra 300を2台追加することで、より本格的なDolby Atmos環境へと発展させることが可能だ。
その際、サブウーファーの「Sonos Sub 4」や「Sonos Sub mini」を加えれば、特に劇場向け映画などで多用される極低音を用いた音場エフェクトを的確に再現できるようになる。サブウーファーの使いこなしは、実は慣れたユーザーでも難しいものだが、Trueplayのおかげで簡単に、しかもワイヤレスでセットアップできる。
サウンドバーの場合、本体における低音域の再生能力限界が低いため、サブウーファーをセットとした製品、あるいはオプションとして購入することを前提とした製品が多い。その場合、メインチャンネルの低音成分もサブウーファーに依存しがちだ。その点、Arc Ultraは本体ではメインチャンネルの低音を可能な限り再現し、追加したサブウーファーで効果音の低音成分を再生する、といった役割分担が行われる。
また追加するリアスピーカーも、求める品質とコストのバランスを考慮して、Era 100かEra 300かを選べる。
筆者がシアターシステムの評価に使っている部屋では、110型スクリーンとLINN Products(スコットランドのオーディオメーカー)のスピーカーとヤマハのAVセンターを中心にした7.1.2チャンネルのシステムをリファレンスとして設置している。
価格もサイズも全く異なるため、品位の面で本格的に比較するようなものではないが、アップファイアリングスピーカーを備えるEra 300をリアスピーカーとして配置すると、音場の広さや前後上下方向への音場の広がり、バランスなどにおいて、より厳密な測定で設定したリファレンスシステムに近い体験が得られるようになる。
Era 300やSub 4まで買うと総額はかなり大きくなるが、この音を“簡単に”得られるのなら、その価値は十分にあるだろう。Arc UltraとEra 300/Sub 4を組み合わせたフルシステムの場合、ライバルはサウンドバーを主体としたシステムではなく、より本格的なソニーの「TH-A9M2」が思い浮かぶ。
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